コンサルタント泣かせの「漁ま」…よき勉強

ryoumaryouma menu先月、オープン直後に伺った「漁ま」と言ういけす料理のお店を訪ねる。
魚の宝庫の高知にあって、これだけ立派ないけすを持った店が今までなかった不思議。
郊外にある大型の店で、もし集客に苦労したら観光バスを呼べばいい…、と思いながら作ってみたら、なんと連日、地元の人でにぎわっている。
おいしい魚を知っている人たちだからこそ、こういう店の魅力を正しく評価する。
しかもお客様の層が多様でびっくりします。

シニアのご夫婦がカウンターに仲良く並んで貝を焼く。
小さな子供連れのファミリーがテーブルの真ん中にドンっと刺身に大皿を置き、笑顔で分け合い楽しんでいる。
男性同士に女性同士。仕事帰りのグループ客と、およそ地方の飲食店におけるほとんどすべての利用動機が満たされている不思議な景色。新しい飲食店ができた…、って感じがしてくる。

誰に来てもらおうとか、メインターゲットに何を売ろうとかマーケティングを駆使して狙いすました店やメニューじゃないから良かったんでしょう。
おいしい料理を準備する。その楽しみ方とか組み合わせ方はお客様の気持ちにゆだねる。だからここの夜のメニューにはセットや定食、コースがない。
けれどほとんどの人がまず貝を焼き、刺身をつまんで最後に釜飯を食べて帰ると言うオモシロさ。かつての繁盛の法則がまるで通用しない、コンサルタント泣かせの店で、そういうお店ができたというのがコンサルタントとしてはむしろうれしかったりするわけです。
いいお店とは、お客様とお店の共同作業で出来上がるもの。その通りだなぁ…、って思う。勉強します。

ryouma hamati試食をいくつか。
まずは刺し身。ハマチを作ってもらったの…。
新鮮だから…、なのでしょう。ゴリゴリ歯ごたえたくましい。関東にいると容易に食べることができない固くて旨い刺し身にウットリ。
脂が強くておいしくて、わさびをたっぷりのっけて食べてもツーンっと来ない。浸した醤油にキラキラ脂が浮かんでいるのに再びウットリ。オゴチソウ。

それにしても、お店の景色がシアワセでよい。
釜飯を二人で分ける老夫婦。ご主人側にお釜があってそれを茶碗によそおい、「はいよ」と奥さんに手渡すステキ。
殻からなかなか剥がれぬ貝を、お父さんがヒョイとつまみあげパパッとむしって子供の口に入れてやる、やさしい景色にこれがファミリーレストランのあるべき姿って思ったりする。
なにより誰もスマフォを見てないんです。スマフォを手にするのは料理の写真を撮るときぐらい。料理を待ったり、食事するのが楽しくってしょうがないからなんでしょう。なんだかステキ。

ryouma ryouriryouma buta食べてみたい料理を二人それぞれたのんでみる。
するとなんとビックリ。あんかけ料理が2つ並んだ。
ひとつは羽釜で炊いて作った豆腐の上に、アオサのあんをたっぷりかけた熱々料理。
豆腐の豆の香りとアオサの風味。
サラサラちょっとゆるめのあんと一緒に食べると、口から喉、そしてお腹が潤うおいしさ。

もう一種類は芋餅で、蒸したじゃがいものデンプンだけでまとめて作った饅頭を油でカリッと揚げてそこにあんかけトロリ。
こちらのあんは若干固めで、ネットリとしたじゃがいも饅頭の食感引き立てお腹にたまる。
どちらのあんもちょっと強めの味付けで、だからご飯のおかずにも、お酒の肴にもぴったりとくる。酒豪揃いの高知ではこういうメリハリのある味の料理が人気の料理。ご当地的でいいなと思う。
魚だけでは飽きがくる。それでカルビや鶏、豚肉を西京漬けにしたのを炭でこんがりと焼く。わらやきが名物料理のひとつでもあり、だからいつも火はおこっててだからの料理。クチャっと奥歯で潰れる豚肉。脂が甘くて、魚にはないエネルギッシュな味がいい。堪能しました…、夜のコト。

ryoryo menuそして昼。
ランチの状態を見たくてそれでやってくる。

同じお店も時間帯とか座る場所でまるで違って見えるたのしさ。
しかもメニューがまるで違って、定食、御膳メニューだけ。例外はカツオのたたきが単品で用意されているのと、夜の名物、貝焼きがあるくらい。
魚がメインの多彩なメニューで、たのしく迷えるバリエーション。

しかも写真のないメニュー。
居酒屋のメニューなんかでは多いけれども、ファミリーも集まるお店では最近、とても珍しい。
料理の名前と説明書きと価格をヒントに、料理の内容を読みとかなくてはならない、つまりほんのすこしの不親切に、戸惑う人も少なからずいてけれどそれでもみんなであれこれ推察しながら料理を決める。
これもひとつの先味で、たのんだ料理が一体どんな料理なのか、ワクワクしながら待つ楽しみにもつながっていく。

いけすの周りをグルリ囲んでカウンターがあり、いけすとカウンター間の通路を料理が次々、運ばれる。
まるでファッションショーのキャットウォークを歩くモデルを見ているようで、あれはなんだろう、これはなんだろう?と見ている中のひとつが自分の前にストンとやってくる。おぉー、これか…、って気持ちがググッとたかまります。

ryo shiotakakiせっかくだから、かつおのタタキをたのんで食べる。

塩で味わう塩タタキ。
かつおの赤身がひんやりネットリ。しかも周りの部分はこんがり焼けてて香ばしく、かっちりとした食感たのしい。
前歯や奥歯、歯茎といろんな味わう器官それぞれに感じるおいしさが違うというのが普通の刺し身と違うとこ。
塩で食べるとかつおの風味を素直に感じる。

わさびをたっぷりのっけて食べても、辛味ではなく甘みを感じる。
それだけ脂がのっているというコトなんでしょう。玉ねぎやネギをスライス、千切りにした付け合せ。
軽く酸味で整えられてて、それと一緒に口に運ぶと、シャキッと食感みずみずしくて、辛味がかつおの旨みを甘くしてくれる。
おそらく二人でひとつをわけて食べてね…、って提案の量。それも難なくあっという間にお腹に収まる。おいしいモノにお腹は正直になるものですナ。

ryo teishokuryo maメインの定食はあら炊き定食。
大きなお盆の上にズラリとお皿が並ぶ。とてもにぎやか。何より焚いたばかりの銀シャリが、入ったお釜がキラキラ晴れやか。特別感を盛り立てる。

今日のあら炊きは鯛の兜で甘辛味のコッテリとした濃厚な味。
肉はしっとり。しかも脂が乗っていて、奥歯にキチッと肉が潰れて脂がにじむ。
サイドに豆腐。これがたっぷり煮汁がしみてて、もしかしたらあら炊きの横の豆腐が実は主役なのかも…、って思わせるほど。ごぼうの香りも食欲誘う。
小鉢が2つ。大根なますはシャキシャキ歯ごたえ軽快で、酸味がキリリと口をスッキリしてくれる。もう一種類はひじきの煮モノでご飯がおいしくすすんでくれる。千切りにしたタクワンの横にもろみ味噌があり、これがご飯のあてにピッタリ。変な漬物がついているより、釜炊きご飯をおいしく食べるにはこういうものがいいのかもなと思ったりする。オゴチソウ。

こういう定食を夜にも食べたいと、言う人だっているでしょう。けれど夜には夜の楽しみ方があるわけで、お客様の意見や利便性ばかりを考えてるとお店の特徴が出せなくなってしまう。そして気づけばどこにでもある和食のお店になっちゃうワケで、だからこのまま。おいしくたのしいモノを深掘りしていくことが、いいのだろうと思って帰る。またまいりましょう…、オタノシミ。

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