キッチン南海

神保町のキッチン南海が再開発のため立ち退きになる。
昨日、とある人がツイッターで呟いたコトがたちまち拡散。
たしかにお店のある界隈は古くて小さな建物がひしめきあった雑然とした雰囲気の場所。それを「風情がある」ととらえるか「利用効率が著しく低い」と考えるかは、立場によって大きくぶれる。
都心中の都心にあって交通至便。
オフィスとしても近隣にある大学のサテライトキャンパスとしても絶好の場所だろうから、「再開発で…」という一言はかなり説得力をもっていた。
ちなみに、お店の隣のおむすび屋さんはすでに廃業。この店の裏側にある洋食屋さんも去年の末で閉店をした。それぞれ独自の事情があって、けれどもしかしたら再開発のようなことがキッカケになったのかもって思うとますますツイッターの噂が信憑性を帯びてくる。
で、水道橋の事務所に顔を出したついでに寄ってみました。心配しながらのぞくもそれらしき告知もなくて、ただ粛々と今日の営業の準備をしてた。
店の中からはカレーを仕込む匂いであるとか、ここの名物の生姜焼きの下ごしらえをする音や香りがやってくる。浮き足立った様子もなくて、妙にしんみりしてるわけでもない。あたかも太陽が朝になれば東から出て西に向かって巡行している…、そんなゆるぎなくも正確な反復感じてにっこりします。

開店時間の10分ほど前。徐々に人が並びはじめて一緒に並ぶ。
そしたらお店の中からおじぃちゃんが電話をもって飛び出してきて、「昨日のツイートを読んだ人から問い合わせの電話が朝から鳴り続けてて大変なんです…、どうしましょうか」って、誰かと相談しはじめていた。
心配だったらくればいいのに…。
お店の人が何か言わない限りはそっとしておいてあげればいいのに…、って思ったりする。開店直前には30人ほどが並んでて開店同時にお店は満席。これもいつもの景色でござんす。ホッとする。そして開店。
厨房では調理人が汗水流して仕込みを続け、ホール側には笑顔の女性。いらっしゃいませ、お待たせしました…、と声も明るく思わずお腹がぐーとなる。

注文を取っていきます。
カウンターの端から順にひとりづつ。注文にあわせて色付きのプラスティックのチップをつまんでカウンターの隅に並べる。チップを置いたところには、①から⑨の番号がふられててつまり誰が何を注文したかが一目瞭然。
アナログながら、おそらくこれが一番管理しやすい形。

カラーチップが置かれた場所にベテランスタッフが立って次々、何を作って、あれはまだ?…、と指令が飛んでく。気持ちいい。
あらかじめ味付けスパゲティと千切りキャベツが盛られたお皿がズラリと並ぶ。盛った料理にお皿の底が触れぬ絶妙な積み重ね方。料理ができるとそこからお皿を取り上げて料理を盛り付け、千切りキャベツを追加で盛り上げそれで完成。ご飯は控えめ、ハーフサイズにしてもらう。

生姜焼きに何種類かの揚げ物の中からひとつ選んで盛り合わせにするのがここのスタイル。チキンやコロッケ、エビフライ。ボクは「ヒラメのフライ」を選んでたのんだ。
ここの一番人気でボヤボヤしてると売り切れちゃうほど。身厚で分厚く身はふっくらと。衣はばりっと歯ざわりよくて、ヒラメ独特の旨味と風味が口に広がる。脂少なめの豚肉を生姜醤油のソースで炒める。玉ねぎがたっぷり入って、その火加減がなんとも絶妙。生っぽくはなく熱とソースの味がしっかり入っているのにシャキシャキとした食感が残ってる。だから豚肉と一緒に口に入って来ると、互いが互いの食感引き立て互いをおいしくしていく。これを食べるとご飯を大盛りにしておけばよかったなぁ…、といつも後悔するのだけれど、まぁ、しょうがない。千切りキャベツと一緒に食べてザクザクシャキシャキ、顎を使ってたのしく食べる。

とはいえここの生姜焼きのワタクシ的に一番おいしい食べ方はマヨネーズをちょっとのっけてしっかりからめる。ご飯の上にのせたらそこに、カレーの辛味付け用にカウンターの上に置かれたカイエンペッパーをパパっとふりかけ、ご飯と一緒にパクっと食べるという食べ方。
マヨネーズが豚肉のプルプル感を引き立てる。
カイエンペッパーの突き抜けるような辛味が脂の甘味をひきだし、ご飯と混じって口でとろける。
ちなみにここのご飯は固め。その固めのご飯の上にスパゲティをのっけてごま塩パラリとかける。そしてご飯と一緒にパクリ。炭水化物で炭水化物を食べる禁断のレシピだけれど、不思議においしく糖質パワーにうっとりします(笑)。

とんかつソースやマヨネーズ。芥子やタルタルソースに生姜焼きのタレ。いろんな調味料が渾然一体となってお皿がどんどん汚れる。汚れる分だけおいしくなっていくのがたのしい。汚れれば汚れるほどにおいしくなるなら、大人のボクはどれほど汚れておいしいものか…、と思って笑う。いつまでこうしてこの店がいつもの通りでいられることか…、わからないけどそれまでこうしていつもの通りが日々繰り返されていくんだなぁと思うとしみじみ、ありがたくってしょうがない。

 

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コメント

  1. めるば

    閉店の話はデマだったみたいですね。踊る阿呆に見る阿呆というか、結構騙されてRTしてる方が多くてびっくりしました。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      めるばさん
      お店の人も随分、迷惑されたようでした。
      リツイートする前に実際、自分の目で確かめなくちゃ…、ってコトですね。

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