カラシビカレー。儚くも優美なるウィンナコーヒー
神田駅からちょっと歩いたところに「カラシビカレー鬼金棒」ってお店がある。
隣が「カラシビ味噌らー麺鬼金棒」。池袋に支店のある人気のラーメン店で、名前の通り辛くて痺れるスープが特徴。日本には2店舗しかないのに台湾には5店舗というのも独特。その店はスゴい行列。お店の前に並ぶだけじゃなく通りを挟んだ反対側にまで人が並んで待っている。
そこが作ったカレーのお店。人気があるに違いない…、と思って来たらノーゲストにて拍子抜け。こりゃラッキーと思うことにする。
お店の外に券売機。面白いのがライスかヌードルが選べるようになっている。興味ひかれてヌードルにした。辛み増し、痺れ少なめでポチリと注文。お店に入る。
カウンターだけ。
オープンキッチン。
アジア系のスタッフがひとりでお店を切り盛りしてる。
トッピングメニューが担々麺のお店のようでパクチー追加して待った。
麺を茹でスープをまとわせ、お皿に盛って周りにカレーをソースのように流してく。
麺の上にはキーマカレー。
ヤングコーンをあしらって豚の角煮に湯剥いたトマト、スライスオニオン。ネギにパクチーをパラリ、上からスパイスパウダーをちらして完成。
カレーの匂いに混じって辛い香りが漂ってくる。まずは麺をひと口すする。麺はザクザク、歯ざわり、歯切れが心地よく小麦の香りとスープの下味が十分おいしい。カレーがからんで舌や唇がじんわりヒリっとしてくる。
お皿の上のすべてをしっかり混ぜていく。キーマカレーがカレーとまざるとミートソースのようになり何度も何度もひっくり返して混ぜ続けお皿の上は渾然一体。
豚の角煮はスプーンの背中がクチャっと潰れる。箸で麺をつまみあげ、スプーンでカレーをすくって食べる。ヒリヒリとした辛みにここちよい程度の痺れが混じってお腹が汗をかく。
辛みもあるけどカレーのうま味がしっかりしていて辛い、けれど旨いの波状攻撃が食べてる間ずっと続いていくのがたのしい。
カレーライスじゃ当然ないしカレーラーメンでもない食べ心地。タマネギやトマトがヒリヒリした舌にやさしく、あっという間にお腹に全部おさまった。
スプーンが鬼の金棒みたいな形に作られたオリジナル。お店のロゴも鬼のロゴ。しかも愛らしくって憎めぬ顔立ち。こういうところもオキニイリ。
ちょっと歩いて「斎藤コーヒー店」にやってくる。
タナカくんのオキニイリだった看板の髭のおじさんは今日もダンディー。ゴキゲン顔でコーヒー飲んでる。
先日、ここのことを書いたらウィンナコーヒーが絶品です…、って教えてくれた。
それで今日はそれにする。
コーヒーのカップに注いで上にたっぷり生クリームをのっけて完成。
その生クリームの量が圧倒的でニッコリします。
壊さぬように崩さぬように、そっとテーブルに運ぶ間もコーヒーの熱でゆっくりクリームが溶けていく。早く写真を撮らなくちゃ…、って思いながらもオキニイリのテーブルにまず座りたくってちょっと歩いた。
そのほんのちょっとの間にクリームの山が半分ほどになっちゃって山というより丘になる。パチリと写真を撮ってまずは生クリームをスプーンですくって舌にのっける。これが上等。なめらかにして乳の香りがふわっと鼻から抜けていく。甘みはほのかで口溶けもよく思わずうっとり。
スプーンをカップに沈めた途端に中身が溢れてカップを汚す。ソーサーも一緒に持ち上げズズッとすすると、生クリームの間から熱いコーヒーが口の中へと流れ込む。苦味のしっかりしたコーヒーです。香りも華やか、しかも熱々。口の中で生クリームと混じり合いミルクコーヒーのようになって舌の上にしばらくとどまる。
おいしいなぁ…、なめらかにして力強くて、しかも後口すっきり。
コーヒーに砂糖を沈めていたのでしょう。飲んでるうちに徐々にコーヒーが甘くなってく。
最初はひんやりしていた生クリームの温度が徐々に上がって溶けて、コーヒーの上に浮かんでく。量はたっぷり。だから最後の最後までコーヒーに蓋した状態。それも贅沢。オキニイリの革製の椅子もうれしそうにしてました。