カシミアのカーディガンが似合いそうな朝
ひさしぶりに銀座に来る。
地下鉄で乗り換えなしで行けるところは新宿三丁目と同じだけれど、さすがに歩いてくるには遠い。それに銀座の街はほがらかなココロを持って来たい街。それでしばらくご無沙汰でした。
心地よい緊張と伸ばした背筋が似合う街…、それが銀座の本質だとすれば、この店の空気はまさに銀座的にてオキニイリ。
昔ながらの落ち着く店です。モケット生地の張地のソファに、アイロンのピシッとかかったレースの背当て。テーブルクロスもうつくしく、キラキラしてる。ギラギラは目立ってやろうと思っていろんなモノを足していくコト。キラキラは必要なものだけを磨き上げることで発揮されるものなんだろう…、と思ったりする。
スーツじゃなくカシミアのカーディガン。石入りのロレックスじゃなくパテックフィリップ。あるいはグッチじゃなくてエルメスかなぁ。そう言うモノが似合うお店に似合った大人になりたいなぁってしみじみ思う。
この店で朝に一番似合うメニュー、トーストたのんでお供にコーヒー。食事の準備がはじまります。
長方形の銀のトレイの上に砂糖のポットとミルクのピッチャー。塩の入ったかわいいボトル。どれもキレイに磨かれていてテーブルの上がキラキラしてくる。しかも肘を広げず貴婦人的に注げるようにと注ぎ口に対して直角に取っ手のついたミルクピッチャー。お冷のグラスやコーヒーカップに舞う箔押しされた天使のロゴ。どれも誂え。眩しいもてなし。ウットリします。
トーストにはサラダと茹で卵がついてくる。器までキリッと冷たいベイビーリーフとトマトのサラダ。殻をキレイに剥いたばかりの茹で卵。朝のお腹がたのしく目覚める豊かな味わい。オゴチソウ。しかもあたかもそれらが前菜であるかのように食べ終わったところを見計らってトーストがやってくる。
バターをたっぷり塗り込められてツヤツヤ輝く朝のトースト。
注文したら6種類ほどのジャムが籠に収められ、お好きなものを何種類でも…、って勧めてくれる。
マーマレードとはちみつをもらっておいた。
けれど最初のひと口はなにもつけずにそのまま食べる。
6枚切りくらいかなぁ。
厚すぎず、薄すぎもしないパンの芯まで熱の入った焦げ具合。
パンそのものの自然な甘みにバターの塩気。焦げた香りと豊かな風味にウットリします。なによりサクサク歯切れる食感、前歯をくすぐる歯ざわりが心地よくって目が覚める。マーマレードの酸味と苦味がパンの風味をひきしめる。パンの表面をトロリと濡らすはちみつのコクと香りがこの上もなくおいしくて、ひさしぶりの甘い朝。
お供のコーヒーはおかわり自由。しかもおかわりをおねだりせずとも「お代わりをお持ち致しましょうか?」と気づいて、席までやってくる。見守られてるって感じがうれしい。最後のひと口は一番おいしそうに焦げた場所をそのままパクリ。ミルクをたっぷり注いだコーヒーをコクリと飲んで満たされる。
今日のBGMはギターが奏でるバッハのパルティータ。リュートみたいな音がしてバッハの時代の音のように感じたりしてのんびりしていた。
そしたらギラギラスーツのおじさんたちが店の真ん中に陣取って仕事の話でギラギラにぎやか。企画書とりだしプレゼンまでする傍若無人に、こういう機会にこの店を選べるセンスがわろし。同じ空気を吸い続けたら毒が回ってしまいそう。まだもうちょっといたい気持ちを引き剥がす。
わー、今日いらしてたんですか!?私も今日行ったんです!(時間帯は違いますが)初ウエストでした。
ミルフィーユとカフェオレいただきました。すごーく美味しかったです。
食べたいケーキがたくさんあったので、また行きます(^^)
ありすさん
ニアミスでしたネ…、偶然お目にかかれたらどんなにステキだったでしょう。
ここのミルフィーユはお店でしか食べることができない作りたて。口の中で粉糖がジュワッととろける感じが格別なおいしさですよね。
もし次にいかれてボクが居たら、気軽にお声がけくださいね。