オキニイリの木蘭・ゴキゲンな夜

夜、ひさしぶりに近所の「木蘭」。外から見るとお世辞にも上等な店とは思えぬ造り。お店の中もちょっとスナックめいていて小さなカウンターに別珍貼りのワインレッドのソファが並んで古臭い。
でも中身はピカピカ。料理はどれもしっかりしていてボク好み。
今日、はじめてたのんでみたきゅうりの醤油漬け。同じ色合い、同じ太さのきゅうりを四割にして醤油に漬け込む。中華スパイスを彩りにしてしっかり浸かったきゅうりのみずみずしいコトにウットリします。
春雨のサラダも丁寧。ハムもきゅうりも錦糸卵もみな春雨と同じ長さ、同じ太さに揃えられ芥子をとかした酢であえる。ひと味足りないほどに正直で自然な味で口の中がスッキリしてくる。何かで味をおぎないたくてしょうがなくなる…、これも食欲わかせる一つの手法。

熱い料理をいくつかたのむ。まずは春巻。薄い生地でカチッとくるんだ春巻で生地はサクサク。油切れがよく砕ける感じがとても軽やか。中にはトロンとなめらかなあん。千切りにしたキャベツにもやし、豚ひき肉に微塵のきくらげ。食感にぎやかなオキニイリ。
イカの団子は前歯をはじくような弾力。噛み切る寸前は歯茎をつつんでムチュンと歯切れる。揚げた油の風味がよくて、山椒塩やケチャップで味を整え、一個、そしてまた一個。
豚肉とピーマン、玉ねぎの炒め物。味噌の風味のやさしい味で、豚バラ肉の脂がサクサク、透き通って壊れるほどによく焼かれてる。ご飯にスープがついて890円。夜の定食、気軽な値段。

ココの料理のステキなところ。
特別な素材を使うわけでなく。
不必要なものをくわえて派手さを装うでなく。
必要なものだけ使って味や風味をちゃんと整え仕上げるところ。
派手さはないけど、食べ続けるのにうれしい味にしてくれるとこ。

その代表がこの海老そば。
極細のストレート麺を固めにゆがく。
白菜の白い部分をスープでトロトロになるまで煮込んで、それを炒めた白菜の緑の部分とあわせて炊く。
片栗粉をつけ茹でたエビと一緒にザザッと麺の上に注いで完成。同じ白菜も調理の仕方でトロトロだったりシャキシャキだったり。エビのプルンとした食感と、スープの中でネットリとろけて一体となる麺のなめらか。
味は鶏ガラスープに最小限の塩。それ以外は白菜の甘みで整い、まずは胡椒をたっぷりふりかけ甘みをひきたてズルズルゴクゴク。途中でお酢をたらして甘みをスッキリさせる。お腹の芯からあったまる。

この店のサービス精神のかたまりのような料理がカニ玉。ネギとしいたけ、カニのほぐし身と玉子でできてる。カニのほぐし身の量がたっぷり。1500円の料理と思えぬ豪快さ。
何しろ中からドサッと真っ赤なカニの脚肉。はじめてこれを食べたとき、もしかしたらカニカマなんじゃないか?と思ってしまったほどに太くて立派。ふっくら、しっとり。玉子のふわふわ感とまじりあってなんとも贅沢。
あんはスープと塩と醤油…、関東風の甘酢じゃないのが料理の持ち味ひきたてる。
ご飯の上にのっけて食べると、お米のパラパラした食感がひきたち玉子が一層なめらか。持ち味引き立ちウットリします。何を食べてもボクの好みの味なコト。気軽なくせして上等で、しかも家に近いこと。ありがたいなと思うココ。

 

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コメント

  1. Tsukane

    サカキさん、こんにちは。
    私も木蘭の料理が好きです。きゅうりの醤油漬けと紹興酒をまず頼むのがいつもの、になってます。
    木蘭のきゅうりの醤油漬けを食べてから、家でも似たものを作ってポリポリ食べてます。きゅうりの一番好きな食べ方です。

    花きゅうりの醤油漬が

  2. Tsukane

    失礼しました。途中送信してしまいました。
    来週はお盆、8月も半ばになりますがまだまだ暑い日が続きそうなので、美味しくご飯を食べて乗り切りたいですね。ご自愛ください。

    • サカキシンイチロウ

      Tsukaneさん
      いつもは白菜の酢漬けをもらうのです。でも夏にはきゅうりだよな…、と思って食べてみたらおいしくってびっくり。たちまちファンになりました。
      おいしい料理と好きな料理は似ているようで微妙に違う。ココの料理は好きな料理。お店の雰囲気も含めてオキニイリです。
      Tsukaneさんもお体ご自愛ください。

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