イノダコーヒでハムトーストとアラビアの真珠

東京駅の大丸百貨店。関西を代表する大店です。
各フロアに喫茶室が配置されるという、特徴的なフロア計画。その喫茶室もほとんど関西出身というのがこだわり。なかでも「イノダコーヒ」を連れてきてくれた…、というのがステキ。
京都の老舗喫茶店。メニューもお店のスタッフの制服も京都のまま。雅な空気も京都から運んできたんじゃないかと思ってしまうほど空気が華やか。真紅の別珍のカーテンなんて東京ではなかなかお目にかかれぬものです。
場所は紳士服売り場の一角…、というのもしみじみありがたい。
コーヒーと一緒に虫養いをと「ハムトースト」を選んで食べる。サンドイッチじゃなくてトースト。サンドイッチは食パン4枚でボリュームたっぷり。けれどハムトーストはパンが2枚。小腹満たしにちょうどいい。

パンはよく焼いてくださいネ…、ってお願いをした。
すると「焦がしましょうか」と聞いてくる。なるほど「焼く」のでなく「焦がす」という表現にちょっとワクワク。「苦くならない程度に焦がしてください」と答えてみた。
そしてしばらく。10分ほども待ちましたか。目の前にやってきた「焦げたトースト」のおいしげなコト。耳を落とした食パンの隅から隅までまんべんなく、濃いきつね色に焼き上げられていて匂いもなんとも香ばしいコト。
噛むとカサッと前歯をくすぐる。ザクッと歯切れて口の中に転がり込んでくるパンの、軽くて乾いてサクサク壊れて散らかる感じにウットリします。

具材はハムときゅうりだけ。
マヨネーズとマスタードをたっぷり使ってみずみずしくて、そのみずみずしさを乾いたトーストがキチッと引受け心地よい。
ハムが上等なことにもウットリ。
サイドに添えられたポテトサラダは潰してまとめた粉吹き芋のよう。
硬めに茹でてて、ときおりジャクっと芋の繊維が潰れる感じがオモシロイ。

お供はここの人気のコーヒー。「アラビアの真珠」を選ぶ。
お願いすると「ミルクや砂糖はどうしますか?」と必ず聞かれる。答えはいつも「両方お願いいたします」。分厚い陶器の、シュッと背伸びをしたようなカップにあらかじめミルクをたっぷり。砂糖をちょっと入れて仕上げたコーヒーで、好みでどうぞとスプーンの上に小さな角砂糖が一個つく。この角砂糖をいつ入れるかをいつも悩んで何度も試し、結局、半分ほども飲んだところで入れるのが一番おいしく感じて今日もそうして飲んだ。

ミルクが入ることでコーヒーの酸味がちょっと穏やかになる。苦味よりも旨味を強く感じるところがオモシロく、ほんのちょっとだけ入った砂糖がコクや旨味に奥行きつける。
ところがもう一個の砂糖を入れた途端にその穏やかさがたちまち消えて、苦味、酸味がくっきりとした力強い味に変わっておどろかされる。砂糖を入れると甘くなる…、と思いがちだけど、砂糖を入れると苦くなる。これってちょっとしたマジックだよなといつも感心しながらたのしむ。
ハムトーストをほんのちょっとだけ残して、甘くて苦いコーヒーを味わって最後にパクリ。お水を飲んで味の余韻をじっくり味わう。堪能しました、さぁ、仕事。

 

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