イオンモールに食の未来はあるやなし

ion目的地は岡山の街。
イオンモールの飲食施設の様子を見たくてやってくる。
鳴り物入りの開業でした。
中四国一。規模もそしてテナントの独自性も地域一番を自負してテナント誘致も工夫した。
しかもイオンモールの中でも新幹線の駅から歩いて来れる大型モールはココがはじめてで、いろんな意味で力の入った開業でした。
何しろ大きい。
商業施設として賃貸している総面積が9万平米を越えるのです。新宿の伊勢丹だって2館合わせて6万5000平米しかない。商業施設が使っていない吹き抜けだったり駐車場、あるいはシネコンみたいな施設を入れるとなんと25万平米ですから、おそらく新宿三丁目を中心としたエリアがすっぽり入っちゃう。
首都圏2000万人に対して商売をする伊勢丹よりも大きな施設を、なんで岡山に作らなくちゃいけないんだろう…、ってちょっと考えればその無茶苦茶がわかりそうなものなんだけど、それがわからなくなっちゃうところがなんだか不思議。

ion-tuuroion-myoujin飲食施設も無駄に大きい。
レストランフロアが2フロア。
何度か平日の夜に来たけど、ガランとしてて広い通路が寂しく見えた。
祝日の夜。
しかも早めの、モールの外食にとってはゴールデンタイムの一つにして、やはり静かでどのテナントもやっと満席になる程度。

ウェイティングができていたのは、かつおの藁焼き、土佐料理を売り物にして明神丸と、しゃぶしゃぶ食べ放題のお店くらいでありましたか。それも待ち客は数組で、おそらく10分、20分もすれば着席できる程度のにぎやかさ。
この傾向は日本全国のイオンモールに共通で、集客できるのは開業してから数ヶ月。その後はどんどん売上が下がってしまう。ひとつひとつのお店の魅力で集客できるような場所ではないのでしょうネ。モールの魅力がなくなると飲食店のロケーションとしての魅力もなくなっていく。

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シネコンが入ったモールは、それでもフードコートが集客できると言われてる。
ワザワザ食事をしに来るのじゃなく、ついでに食事をしたくなるから。
ここのフードコートも割りとニギヤカ。

かつての「ファストフード的」なお店がメインではなく、ちょっと待ってでもできたてで、おいしいモノをという趣向。ポケットベルで呼び出す店が多くなってきたからでしょう。
10店ほどが並ぶ店内。夜ということもあるのでしょうけど、フレンチトーストが売り物の今風カフェが開店休業。人気があるのはうどんやラーメンと、どんなにおしゃれを気取ってもこういう場所で売れる料理が昔ながらであることに、ほんのちょっとだけホっとする。

ion-parmenara気になる店で試食を少々。

まず一軒目は「パルメナーラ」というお店。
日本全国のイオンモールに出店しているピザとパスタのファストフードスタイルの店。
実は昔、仲良くしていただいた経営者がやってらっしゃる。
かつては郊外型のイタリア料理のお店が主力だったのだけど、最近ではフードコートを主戦場にして成功している。

カウンターで注文をして先払い。
ビーパー渡され待ってると10分たたずしてビーッって呼ばれる。
この10分でパスタを茹でて、食べられる状態にする。それも細い麺ではなくて歯ごたえ、噛みごたえのあるほどよき太さのパスタを使う。
商品を受け渡す場所の横に大きなパルミジャーノの塊があり、それをスプーンでシャイブしてピザやパスタにのっけてどうぞ…、という趣向。

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しかもパスタを入れる器が蓄熱式の皿。ソースはゆるめのスープタイプで、だからグツグツ。呼ばれたときには沸騰してる。
そこにチーズを乗せてくれるから、おいしさを見ることができるところがいいのでしょうネ…、普通ならパスタに手をださなさそうなおじさんたちも次々呼ばれてニコニコしながらパスタをテーブルに運んでる。
早く仕上げるためのパスタがちょっとムチムチするとこと、ゆるめのソースが麺に絡みづらいところがちょっと弱点。スプーンでスープをすくって飲みつつ、ハフハフすれば案外おいしい。オモシロイ。

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それからもう一軒。実は今日、一番並んでた人気のお店。「おひつごはん海の穂まれ」という店が気になりためす。
まず注文。おひつに入ったご飯の上に刺身をメインに具材をのせて、最初は丼。
最後は汁かけご飯にして食べるという、趣向の料理。
良く出来てるなぁ…、と思ったのが、注文したらお盆を渡され茶碗やお箸、しゃもじをとって食べる準備を自分でしていく。お茶漬け用のあられやわさびもセルフサービス。お盆の上を整えているうちにメインのおひつごはんができてくる。最後に汁を渡されて、準備万端。
労働生産性を考えるなら、このやり方が一番なのよね…、と感心しながらさて試食。

ion-ohitsuion-o-sirukake一番人気はなんですかって聞いたらおじぃちゃんは鰻の蒲焼き。
男性客にはマグロづくし。女性の方にはアボカドサーモンというのでココはアボカドサーモン。
女子の気持ちになってみる(笑)。

とは言え、マグロも気になってトッピング用のマグロももらった。〆て900円をちょっとかける程度の値段。
味変え用です…、と、ジェノベゼソースがついてくるのにちょっとビックリ。
たしかに女子が好きそうなコレ。

一口まずは普通に食べる。甘辛タレがご飯の底に沈んでて混ぜて食べるとそのタレがほどよきコクと風味がなかなか旨い。
2杯目よそってジェノベゼソース。
サーモンやアボカドの味が不思議なほどに洋風になる。案外これはいい組み合わせ。
ところが一旦、茶碗にソースを注いでしまうとそれからずっとバジルの香りが漂い続ける。普通に食べてる分にはそれもおいしくて、けれど出汁をかけるとますますバジルの香りが強くなる。
わさびやあられが一生懸命、これは出汁かけ茶漬けと言っているのに、味はどこかイタリア風でミネストローネご飯のような感じがするのがオモシロイ。

東京の街の中にはないお店。あるいは料理がフードコートの中にある。勉強しました。
何より、フードコートの中で働いている人たちはみんなパートやアルバイト。ボクが小さな頃に通ったうどん屋、お好み焼き屋さんには必ず経営者がそこにいて、そこのおじちゃん、おばちゃんにいろんなコトを教わりながら大人になった。そんな環境がなくて育つ今の子供って、ボクらのコトをどう思うんだろう。ちょっと思案の夜のコト。

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