やよい軒の冷や汁、トラノコのカタイプリン
やよい軒で「冷や汁」がはじまった。
宮崎名物。冷たい汁を熱々ご飯にかけて味わう夏のゴチソウ。
チキン南蛮がセットになって気軽な値段でたのしめる。鰻のひつまぶしなんかもはじまって、本格的な夏が間も無くやってくるんだ…、って予感をさせる季節であります。
そういえば、梅雨の後半になるとタナカくんが必ず冷や汁を作ってくれた。
ジメジメした季節にシャキッと気持ちを整えて食欲湧かすゴチソウで、しかもそれがおいしかった。
冷や汁の素を買ってくるのだけれど、きゅうりたっぷり、豆腐は手で潰して入れて鯖缶にゴマ、大葉を刻んで入れてくるのネ。
亡くなってから思い出し出し、自分で作ってみたけどまるであの味になることはなく、しかもたくさんできちゃって残ってしまう。
残してしまうことがしみじみかなしく、それで作るのをやめちゃった。
今ではお外でたのしむ料理。
卵焼きをつけ、ひとそろえ。
焼きたての鯖が胡麻をまとってついてくる。
それを崩して冷や汁に入れて仕上げる趣向。
氷がぷかぷか浮いていて、そういえばタナカくんは冷や汁のためにぶっかき氷をわざわざ買ってきてたんだよな…、って思い出す。
作り方、食べ方の紙が添えられていて、冷や汁にご飯を入れろと書いてある。
ひとり用ならそれでもいいかもしれないけれど、大きな鉢にたくさん作ってみんなで囲み、ご飯にかけて食べるのが本来の食べ方だよね…、って思ってかける。
熱々ご飯が熱々のまま、冷たい汁や具材で温度がほどよくなってザブザブ口に流し込むのが醍醐味で、それがおいしい。
去年の冷や汁は塩辛かった。今年の塩気はほどよくて、そのまま飲んでも十分おいしい。いい感じ。
鯖がしっとりご飯に辛味、薄切りきゅうりがしゃきっと歯切れて緑の香りで鯖のクセをスッキリさせる。豆腐なめらか、いろんな食感が口の中へとやってくるのがオモシロイ。
そしてセットのチキン南蛮。やよい軒の定番チキン南蛮と違って鳥の唐揚げを南蛮ダレに浸してタルタルソースをかけているのネ。定番チキン南蛮の鶏肉の皮がムチムチしているところが苦手だから、この南蛮はかなり好き。
卵焼きにタルタルソースを絡めて食べるのもまた旨い。
二口分ほどのご飯をのこして龍馬漬けをのっけて出汁をかけてサラサラ。冷えたお腹をあっため直す。今日で6月も終わりです。
やよい軒から路地を入った先に「トラノコ」っていうコーヒー屋さんがある。
正式な名前は「TORANOKO Roasted Coffee & Sweets」。
プリンが人気。食べにくる。
小さな店です。
なのに厨房の中には大きな焙煎機。
ケーキもここで作っているからお店の3分の2ほどが厨房という贅沢な造りをしてる。
カウンターに5席、テーブルふたつと欲がないとでもいいますか…、焙煎所の中でお茶をしてるって感じがたのしい。
お店の外にもコーヒーの豆の香りが漂っていて、お店の中の香りも華やか。アイスコーヒーとプリンのセットをもらいます。
まずアイスコーヒー。大きなグラスにたっぷりはいってやってくる。
そしてこれがあっけないほど飲みやすい。苦味、酸味、どちらもやさしく香りも明るい。喉をイガイガさせるでなく、お腹や胸を重たくさせるものもなくなのにおいしい。ビックリします。
プリンは大きく焼いて切り分けたもの。
あらかじめカラメルを上にのせて冷やして固めるている。
断面を見るとカラメルがプリンに染み込み濃い茶色からキャラメル色に移ろうグラデーションがなんともおいしげ。
これはおいしいに違いあるまいという断面です。
カウンターにストンと置いても揺れない仕上がり。
いわゆる「硬いプリン」というやつです。
小さなスプーンが添えられている。
生クリームやらホイップクリームやらも使わずプリンとカラメルだけというシンプルさ。
スプーンで切っても形は崩れずどっしり重たい。舌の上でも揺れることなくしばらくそのまま。噛むとムチッと崩れてく。
これまたやさしい味わいで、甘さも香りも控えめで最近流行りの濃厚な味わいのプリンをイメージすると拍子抜けする。
けれどおいしい。ひと口目よりふた口目が、ふた口目より三口目がと食べ続けるに従って味が舌に折り重なっておいしさをしみじみ感じる…、そんな味わい。
なによりカラメルソースがおいしいの。香ばしくってほどよい苦味。スッキリとしてキレの良い甘みに深い苦味がプリンをおいしくさせる。
カラメルがあまりにおいしくお皿に残ったのが勿体無くてアイスコーヒーに注いで飲んだら、ビックリするほどおいしゅうござった。オキニイリ。