ぽん多本家の野菜サラダにタンシチュー

上野の「ぽん多本家」にやってくる。
「本家」というから分家はあるか?というと、唯一無二のオンリーワン。ここにしかないという誇りが本家を名乗らせてるのでありましょう。いかにも入りにくい入り口です。気軽に中に入ってくるなよ…、という人を突き放したような雰囲気がある。
けれどお店のムードはやわらか。店に入るとまず厨房があり、ご主人がニコッとしながら「いらっしゃいませ」と明るい声。この入りにくいドアをよくぞ開けてくださいました…、ってご褒美みたいな感じのウェルカム。ニッコリします。ホッとする。
創業してから113年。今のご主人が四代目。時間の中で枯れて萎れてしまうのじゃなくなく、なおみずみずしくあり続けているというのがステキ。

厨房前のカウンターに一席もらう。
目の前で料理が粛々作られていく。
なのに静かな厨房でとんかつが名物の店です。
油の匂いもしない。低温で揚げられているからなのでしょう。
仕上がる寸前にほんのちょっとだけカラコロ油が爆ぜる音がするだけの静かな厨房。ウットリします。

ここに来るといつも何を食べるか迷います。
とんかつが有名な店ではある。けれど穴子を揚げたり小柱揚げたり、あるいは鱚を揚げたりとまるでパン粉で揚げる天ぷらみたいなメニューの数々。あるいはアワビをソテしてみたりシチューも旨い。
今日はタンシチューをたのんでメインにすることにした。お茶が運ばれ、分厚いおしぼり。食べる準備が整っていく。

まずは最初に野菜サラダ。
レタスの葉っぱを何枚か重ねて丸めて筒状にする。それをやさしくまな板の上で転がし繊維をほどよくほぐす。それをちぎってボウルの中で塩と胡椒、お酢と油を合わせて仕上げる。茹でたグリーンアスパラガス皮むきトマト。どちらも甘くてウットリします。
何よりレタスがパリパリしてるのにやわらかでドレッシングをしっかりまとっておいしいコトに箸が止まらぬオゴチソウ。

タンシチューがやってくる。
うつくしき洋皿。今ではホテルのレストランでも使わなくなった華麗な箔押しの皿。
分厚く大きなタンがどっしり、深い色したソースが覆いお供の野菜が彩り添える。堂々とした様に惚れ惚れします。

デミグラスソースの香ばしい香りも食欲誘い、さて一口…、とナイフを当てる。
すぱっと切れます。切れつつ繊維がハラリとほぐれて透明な肉汁滲んでキラキラひかる。ずっしりとしたソースの味と一緒にねっとり、とろけてく。とろけながらたくましい肉の繊維と豊かな脂にわかれてちらかり、タン独特の風味がずっと口にいすわる。なんたるシアワセ。

とろけていくのに弾力がある。
なめらかなのに、奥歯でキチキチ肉の繊維がこすれあうような食感もある。
牛肉のどんな部位とも違った独特。
仙台流に分厚く切って炭でこんがり焼くのもいい。
けれど時間をかけて煮てやわらかくしソースとひとつにまとめたシチューはまるで別物。
オゴチソウ。

付け合わせの蒸したジャガイモはホクホクと、キャロットグラッセは舌と上顎の間で潰れる。おいしくて感心するのがしいたけで、クチュッと潰れトゥルンと口のすみずみ撫でる。しいたけをデミグラスソースで煮ようと思った人の天才、感謝する。

ご飯を茶碗に半分だけもらいます。
サラダがたっぷりしてるから、ご飯は必要ないくらいの量。けれどタンシチューをご飯の上に乗せてどうしても食べたくて、ご飯にのっけて辛子を少々。ハフッと一緒に味わうとタンと一緒にご飯が潰れる。ねっとりとした食感引き立ちご飯もタンもおいしく変わる。
時間が経つとソースの上に膜がはる。おいしい脂とゼラチン質がかたまりできた漣のような膜。
食べる唇にも張り付くようなソースの味にあらため感心。タンを全部食べ終えたお皿にご飯をちょっとのっけてソースまみれのご飯をパクリ。甘露なり。
それにしてもナイフ、フォークの柄のレリーフのうつくしきこと。ずっしり重たく上等なこと。手から味わうゴチソウというのもあるんだ…、と背筋伸ばしてウットリします。オキニイリ。

 

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