ぽん多本家の穴子のフライ

上野でランチ。「ぽん多本家」にやってくる。
上野とんかつ御三家のひとつなんぞと言われた店で、かつてはのどかにただの「ぽん多」を名乗ってた。
けれどいつしか本家がついて商標登録までとったというから、いろいろ面倒なコトがあったのでしょう。そうそう真似ることができない店ほど真似る人が出る。不思議なことではございます。

重たい扉をあけた正面に厨房があり、4人がけのカウンター。その一番端をもらって待ちます。
待ってる間、ずっとキャベツを千切りする音。タンタンタンタン、一つのリズムで包丁がまな板叩く音がし続け、そこにシュワリと油が爆ぜる音がする。調理人はほとんど喋らず、静かなのに希薄に満ちた臨場感に胸は震えて腹がなる。

しかもスゴいなぁ…、と感心するのがこれだけ近くに厨房があり、空気を遮るモノがないのに油の匂いがしてこない。
実際、食事を終えてお店を出たときも、体に嫌な匂いがついていない不思議にまずウットリ。

この店を「とんかつ屋」と思ってくるとかなり拍子抜けしてしまう。だってとんかつ的なるものはカツレツ一種類。
コロッケだとかエビフライ、あるいはキスのフライと揚げ物が何種類あり、ソテにシチューがメニューを彩る。
つまり洋食の店と言ったほうがメニュー的にはしっくりくる。
にもかかわらず、厨房の風情はまさしく日本料理店のそれであり、置き所としてはおそらく「洋食割烹」とでも言えばしっくりしそうな感じ。

穴子のフライを定食にした。
実は昨日。昼食をとりつつずっと穴子談義をしていたのです。それでなんだかおいしい穴子が食べたくなって、そうだ、ココにフライがあったとやってきたワケ。分厚い穴子がまるまる二尾がフライになってお皿を飾る。半分ご飯に汁にぬか漬けでひと揃え。かなりのボリュームに圧倒される。

それにしても立派な穴子です。
断面分厚く、肉は白くてうつくしい。
脂がしっかりのっていて、噛むとブルンと弾力があり前歯にしたたか抵抗しながら歯切れてく。
穴子独特の匂いがフワッと漂います。
力強くて、一歩間違うと生臭なるのを油とパン粉衣の香りが見事に閉じ込める。
ネットリとした穴子の食感。パン粉衣がサクサク壊れて散らかる感じ。強い旨みと油の甘みがひとつになってなんとも旨い。穴子のおいしい食べ方の五本の指には入るだろうな。天ぷらよりも、穴子の力強さを強く感じる…、ボクは好き。
サイドについた野菜サラダは料理が出来上がる寸前に、ちぎったレタスをボウルに入れて油、にんにく、塩をまとわせかき混ぜ作る。シャクシャク歯ざわりやさしくて、口の油がさっぱりとするよき付け合せ。

ちなみにいわゆるタルタルソースやとんかつソース的なるものは用意されない。テーブルの上に置かれているのはウスターソースにマスタード。そしてケチャップ!それもメーカー品というのが潔い。
ソースにこだわるとんかつ屋って、ソースで味を誤魔化そうとしてるのかしら…、って思ってしまう。それにメーカーが作るモノにかける開発費のコトを思えば、それらを使ってもなお、おいしい料理作りを考えたほうが合理的かもしれないなぁ…、とも思っちゃう。
ウスターソースの酸味とスパイシーな香りが穴子をおいしくさせて、ケチャップとウスターソースを混ぜてつけると甘みコッテリ。洋食よりに穴子が変わる。汁も自家製ぬか漬けも、カチッと炊けたご飯も見事で、昼のお腹が喜んだ。

 

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コメント

  1. HULL

    3月に上京した際、念願の柱フライをいただきました。私はソースが若干苦手なので、お塩で。美味しかった!次回はイカフライにしようかなと。このお店では、お肉よりもむしろ魚介のフライの方が好みです。できればお醤油もあったら嬉しいのですが。
    笹巻けぬきすしも近江屋洋菓子店(フルーツポンチ!)も大好き。でもすぐお腹いっぱいになってしまって。子供も独立し経済的に余裕ができた今、若い頃の食欲があったらなあと思う事しきりです。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      HULLさん
      ボクもフライには醤油派なので、醤油があるとうれしいなぁ…、って思います。
      この日は柱がなくて、キスにしようか穴子にしようかと迷ってそれで穴子になりました。次に来るときは何人かでいろんな料理をたのんで分け合いたいなぁ…、と思いました。昔だったら一人で2人前はペロリだったんだけど、お腹も随分年をとりました。

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