ひょうたん屋にてうな重たべる、元気だす

ひさしぶりに平日、銀座のランチをたのしむ。
ちょうどランチがはじまる時間に仕事が終わり、軽く駆け足。「ひょうたん屋」に来る。
銀座6丁目の分店で、間もなく開業のバカげたビルの裏っかわ。開店直後というのに続々、お客様がやってきていてテーブル席はほぼ満席。カウンターの一番隅っこ。

目の前が鰻の焼き場でちょっと煙がけむいけど、焼き手の手元を眺めつつ鰻が焼けるのをのんびり待てる一等席に運良く座れて、ニッコリします。
串を打った鰻の切り身を炭の上におき、うちわをバタバタさせながら裏に表にとキレイに焼いてく。しかも蒸さずに焼き上げるというお江戸にあって珍しい店。脂がにじみ、垂れ落ちて炭にあたって煙を作る。自分の作った煙でいぶされ風味をまして焼ける鰻がいとおしい。

タレを何度も漬けては炭の上に戻して焼き上げていく。
うな丼、うな重が何種類。
それらそれぞれに合わせた鰻を器用に焼き分け、しかも続々、次の注文がやってくる。
見事な手際に惚れ惚れします。

15分ほどは待ちますか。
それでも鰻のお店としては待ち時間は少ない方で、にもかかわらずお店の人がカウンターに座る一人客には気を配る。
手持ち無沙汰にしている人には、いかがですか?と新聞や雑誌を手渡す。
ボクは何度か目線を感じ、けれど真剣に焼き手の手元を見ているさまを確かめ、ニッコリ頷くさまがやさしくていい。

まもなく料理が整いますからと、汁がまず来て、すかさずお重。
横に長くて薄めの器で、汁もお重も蓋したまま。あけるたのしみをまず味わいます。
ちなみに、丼の蓋は片手で持ち上がる。
しかもヒョイと、勢い良く取るのが粋なように感じる。

けれどお重の蓋はとるのに両手を必要とする。それもユックリ。中の状態をたしかめるようにそっと持ち上げたくなる分ちょっと、特別感が漂う感じ。両手で蓋をそっととり、中の鰻をたしかめると同時にタレが焦げたこうばしい香りが漂い、お腹が思わずグーッとなる。
ぷっくり盛り上がった鰻は肉厚。しかも表面、こんがり焼けて盛り上がった部分であったり端のところはガリッと焦げて仕上がっている。

箸をあててもしたたか抵抗するたくましさ。ホロホロになるまで蒸してふっくら感を極上鰻と感じる江戸の口はどうにも、ボクには向かぬ。父が昔やってた鰻屋の鰻にとても近い鰻で、だからなんともなつかしく、しかもおいしく感じるステキ。
タレは醤油の風味が強く、甘み控えめ。江戸の味。
ご飯にたっぷりタレがかかって、ご飯だけでもおいしくてお重のご飯は少々控えめ。薄めの器に浅く広くと盛り込まれている。丼はご飯を味わう料理であって、一方お重は鰻を味わう料理なんだと思って味わう。熱々ご飯に徐々にむらされ、鰻の食感、風味が刻々、変わっていくくのがまたオモシロイ。
半ば食べた頃合いで、山椒をパラリ。たちまち醤油の風味や脂の味わい変わって目を見張る。

漬物ふたつ。ぬか漬けきゅうりに白菜浅漬け。
そのかたわらに昆布の佃煮がついてくる。
出汁をひくため使った昆布を佃煮にする。無駄を作らぬ粋な作法で、職人の心意気を感じる上に始末な気持ちも味わえる。
なのに最近。本来捨ててしまうべきものを再利用して、客にだすのはけしからん…、と無粋なコトを言う人が少なからずいるんだという。使い回しという感覚なのでしょう。喫茶店の捨てられるべき食べ損なわれたパセリと同じ。
これは出汁をとった後の昆布ですとノーティスしないで使うのは、客を騙す行為じゃないかと、わけのわからぬコトを言う人までいるようで、それでこういう始末な料理をしないことにしたお店もある。…、と聞いてはちょっと心穏やかになれぬ哀しき事態でござる。
今日はなんだか気持ちが弱い。そんな気持ちをおいしい料理で鼓舞してお腹を満たしてニッコリ。昆布で鼓舞したそんな昼(笑)。

 

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コメント

  1. Eiko

    観光地化して東京が外国人のモノになっていく…
    気がして、どこに行っても最近画一化が恐ろしくてならないのです。
    でも、外国人観光客の方々だって、そんな東京が観たいわけじゃない。
    日本人が日常を過ごす銀座が、秋葉原が、渋谷が観たいはずだ、って思います。
    それに気づいていける限り、そこで働く人がいる限り、まだまだ大丈夫…って思いたいです。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      Eikoさん
      特に百貨店とか商業施設のデベロッパーの人たちのうろたえ方は目を覆うばかり。インバウンド狙いで免税店や高級ブランドの店ばかりを誘致する。
      そんなものは世界中どこにいっても買えるのになんでワザワザ、日本で買わなきゃいけないんだろうと、冷静になればすぐにわかりそうなものなのに。
      銀座がどんどん日本人のための銀座でなくなっていく…、そんな滑稽が日本中でこれからも繰り広げられるとしたら、あまりにもかなしいコトですね。

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