ひつまぶしの「まるや」が六本木に来たよ!

名古屋のひつまぶしの名店「まるや」が東京にやってきた。
3月終わりに六本木のミッドタウンに出店したということを今頃知って、とるものもとりあえず飛んでくる。
蒸さずに地焼き。バリバリに焼けたうなぎが大好物で、すでに東京に名古屋からやってきている専門店もありはするけど、まるやのうなぎは核違い。
場所は飲食店や物販の店が軒を並べるギャリア棟の3階で、店は小さい。
店に入ると奥の厨房の入り口がもう見えるほどでテーブル6つに個室が2つ。開店してものの10分ほどでテーブル席はすでに満席。個室は予約で埋まっていました。お店の中には尾張訛りに関西言葉。みんな「うなぎはやっぱりバリバリだよなぁ…」といいながら料理を待ってる。

まず白焼き。地焼きのバリッとしたうなぎの噛みごたえと脂の旨さを心置きなく味わうならばうなぎ一本丸ごと焼いた長焼きがいい。しかも白焼き。白醤油をほんの少々まとわせ焼き上げたうなぎの持ち味をギュッと凝縮させた一品。
香り豊かで噛むとジュワッと脂がにじむ。ねっとりとろけて口の中をひんやりさせて噛めば噛むほど旨味が広がる。わさびをのっけて醤油にちょっと浸して食べると炭で焼かれた香りが際立つ。大根おろしで口をリセットさせながら、また一枚と箸を伸ばしたところでメインが到着。

ひつまぶし。
コロンとまるい漆の器。
蓋をあけるとぎっしりタレ焼きうなぎ。タレと脂と炭の煙でテカテカ鈍く光ってみえる。
下にはタレをまぶしたご飯がギシッと詰め込まれ、小さなしゃもじを入れるとずっしり。
手首に心地よい程度の重さをもってスパッと持ち上がる。
刻んだネギにわさびに大葉。アルミの袋に入った千切りの海苔。卵豆腐の沈んだ汁でひと揃え。茶碗に軽くご飯とうなぎをよそおってネギと大葉をのせ山椒パラリ。茶碗に口つけかきこむように食べる。
旨い!
タレの甘みに香ばしさ。うなぎの味わい、脂のおいしさ。ご飯がパラリと散らかってネギがクシュッと口を一瞬みずみずしくして大葉の香りが口の中をさわやかにする。うな重、うな丼、うなぎご飯にはないうなぎとご飯の一体感はうなぎをあえて細切りにしたことで生まれた偶然なのか、必然なのか。

出汁を下さい…、とお願いすると土瓶に熱々の出汁がくる。
熱々の出汁のおかげでタレの風味がフワッと膨らむ。自分の脂が揮発して細かな穴があいてサクサク、揚がったように仕上がったうなぎに出汁がススっと入る。
ザクザクしていたうなぎの食感が瞬間、ふっくら膨らんで蒸したのでもない、地焼きでもない不思議なやわらかさにウットリしてくる。
白焼きを半切れのっけて上から出汁をためしに注いで食べてみると、そのなめらかと風合いの良さにビックリしました。おごちそう。
足りなくなった薬味はたのむとおかわり自由。ゆずの漬物、守口漬も上等な味で、ご飯の具合もボク好み。なにより今まで名古屋に行かなきゃ食べられなかったものがこうして家の近所で食べられる。博多うどんは関門海峡を越えないけれど、おいしいうなぎは大井川を超えました。

 

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コメント

  1. Kei

    名古屋に来てから初めてバリバリ鰻を食べましたが、俄然こっちの方が好きと思いました。やっぱりバリバリだよなぁって同感です!バリバリとフワフワの境界ってどこなんでしょうね?

    • サカキシンイチロウ

      keiさん
      静岡まではバリバリと言わぬまでもバリッと感が残っているように感じます。ただ東北も関東のようには深蒸しにしないので、もしかしたらお江戸を中心としてのエリアだけがふわふわなのかなぁ…、とも思ったり。
      お店によっての違いもあるので、探求するのがたのしいテーマかもしれませんね。

  2. koku

    愛知の鰻は本当に美味しいですよね。私も西の出なので鰻=地焼き。年に数回行く機会があるので田代まるや蓬莱軒などなんとか時間を作って行ってます。まさかのまるや上陸! 知りませんでした、情報感謝です。嬉しい限り。さっそく行きます。

    江戸鰻の「深蒸し」に関しては、江戸近郊で捕れる鰻は脂が多すぎて落とす必要があったとか、泥臭い鰻しか取れず臭い脂を落とすためだったとか、遠くから運ばれて来たので冷凍技術がなかった時代は脂が悪くなってそのままじゃ食べられなかったからとか、諸説あるみたいですね。どの説も、鰻の脂が原因というのは共通のようです。

    ただ、理由はなんであれ、鰻の脂=旨味の元でもありますから、江戸の職人は当時、断腸の思いで深蒸しをしたんじゃないかと勝手に想像してます。出来ることならしたくなかったんじゃないかなあ・・・だって食材が持つ本来の旨味を捨てたい料理人なんて、いったいどこにいるでしょう。実際、脂に問題ない地域は地焼きなわけですし。

    で、いまは関東と関西で「脂の量」とか「泥臭いか」なんてまったく関係なく、ていうか天然そのものがほぼ皆無で、しかも冷凍技術がここまで発達したいま、本当に蒸す意味はあるんだろうか、とたまに疑問が起こる。味より食感に重きを置くのも一つの答えですけど、昔はともかく今はフワフワトロトロな食べ物なんてそこらじゅうにあふれていますしね。

    伝統を受け継ぐことは大切だと思うけど、盲目的に守る必要はあるのか、その当時なにがあってそれが起こったのか? を考える必要がある気もします。
    つまり、江戸の職人が今の時代にいたら、果たして蒸しただろうか?
    東京の鰻職人さんは本音のとこどう思ってるんだろ。お話聞いてみたい。

  3. サカキシンイチロウ

    kokuさん
    うなぎは水がおいしいところで食べるべし…。
    うなぎをキレイな水の中で休ませて、泥臭さをとり脂を落とす。だから静岡の三島であったり東京の上野、不忍池の辺り、埼玉の浦和など、うなぎの産地というわけでないのに、うなぎのおいしい場所が点在していたりする。
    今では養鰻の技術、飼料の品質があがったらしくそういう手間をワザワザせずともおいしいうなぎが作られているともいいます。
    ただ、日本人の「さっぱりふっくら」志向から脂のおいしいうなぎが日本で養殖されぬ傾向にもあるようで、地焼きのうなぎは中国のうなぎがいいんだという意見もあったりする。料理の世界、歴史は本当いオモシロイなぁって思いますネ。

  4. いにしえ

    うわー。情報ありがとうございます。まるや東京進出とは!これで鰻欠乏症になったときの駆け込み寺確定です。
    中京出身者と東京でどんなに美味しいと言われてるお店をめぐっても、「確かに美味しいんだろうけど、ちょっと違うんだよね~」と言いつつ諦めていました。関東の鰻は求めている方向が違うので仕方ありませんが、私たちには、鰻はバリバリで切り身を箸で摘まんでも崩れず持ち上がらないといけません。
    来週は岐阜で鰻を食べる予定なのでそこで補給し、その次に鰻が足りなくなったら早速参ります。

    • サカキシンイチロウ

      いにしえさん
      お江戸のふわふわうなぎは、うなぎの加工品のようにどうしても感じてしまうんですよね。それでも何軒か、ちょっと硬めに仕上げるうなぎ屋さんもあるけれどバリッとしたうなぎは中京地方に行って…、と覚悟していたところにまるやさんの登場。本当にありがたいです。

  5. いにしえ

    サカキさま
    加工品。まさに。なぜわざわざこんなふうにしちゃうんだろという気持ちになるんですよね。この、わざわざ感は加工品感ですね。

    • サカキシンイチロウ

      いにしえさん
      おいしくないわけではないのですけれど、どうしても違和感を感じてしまう。人は「こうあってほしい」という期待感を味わうようにできているのかもしれませんね。

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