はまの屋パーラーの焼かないサンドイッチ

有楽町からはじまる月曜。
サンドイッチで一日をはじめましょうと銀座で丸の内線を降りて地上にあがってビックリ。
かなり寒くなりました。
日差しは強くも空気が冷たくちょっとブルッと、秋を感じる。
山手線の高架下。
銀座と丸の内を区切るように走る線路の下のトンネル。
ずっと工事をしていて工事の音が音の結界はってるような感じがしちゃう。
手前は暗い。
向こうは明るい。そのコントラストがどこかドキドキさせる効果を作っていたりするのであります。明るい向こうの出口では赤い羽根の募金をつのる高校生の姿がみえて、あぁ、秋なんだ…、としみじみ思う。
トンネルを抜け、交差点をこえ昭和なビルの地下一階へとトントン階段降りていき、食堂街の突き当りにあるいつものお店。はまの屋パーラーに到着します。お店の中はいつもしんみり。静かでなんだかホっとする。

かつておじさん、おばさんたちでやってた働く人も昭和な感じの店だったけど若い人たちに引き継がれ、今に至ってメニューはほとんど昔の通り。
朝食用の安いサンドイッチセットなんかが置かれるようになっていて、いろいろ工夫をしてるんだなぁ…、と思うもほとんど変わらずやっているのがウレシイ。
変わったのBGMくらいかなぁ…。
昔はまるで頓着なくて、今はアナログレコード盤で70年代や80年代の音を流してくれてる。お店をやってる彼らにとっては新鮮で、ボクらにとっては懐かしい。こういう雰囲気も悪くないな…、と思っていたら、ドナ・サマーにアルバム変わってちょっとニッコリ。
好きなのでして…、ドナ・サマー。しかもいきなりバッドガールと来た日にゃ体が思わず動いちゃう(笑)。

いつものようにたまごサンドとハムサンドをハーフハーフでトーストしてね…、とお願いをする。
そしたらなんと。
今日はトースターが壊れているんでトーストサンドはできないという。
お店の外に貼り紙しておいたんですけれど…、と木で鼻くくったようなココにそぐわぬおじさんが言い訳めいていうのだけれど、そんな貼り紙なんてみやしない(笑)。
気持ちがすごく凹んじゃって、そのまま帰ってしまおうかって思いもしたけど、しょうがない。
それじゃぁ、焼かないサンドイッチを作ってください。
…、とそれで見慣れぬサンドイッチが目の前にくる。

白いパンです。食パンだから当たり前なんだけど耳を几帳面にとっているから、まるで洗ったように白く感じる。
よく見ると、空気をたっぷり含んで仕上がったパンなのですね。しかも薄い。そこに分厚い卵焼き。ハムにレタスと焼いたときには感じぬ具材とパンとのアンバランス具合に、新鮮な気持ちになった。
そういえば、ここで焼かないパンで作ったサンドイッチは初めて食べる。はじめてだからワクワク半分、でもやっぱり焼いたパンの方が旨いに違いないと思いながら一切れつまむ。重ねて切ったからでしょう…、パンとパンがくっついてたまごサンドとハムサンドが一緒に持ち上がってきそうになるのもトーストサンドにはないコトで、ハラハラしながらパクリと食べた。

これがなんとおいしいこと!ビックリします。
ふっくらとした卵焼きのそのふっくらが素直に口にやってくる。
パンが薄くてしかもサックリ、歯切れてとろけてくれるからまるで卵焼きだけが口の中にいるようなそんな食感。
けれどバターやマヨネーズの風味が後からやってくるから、あぁ、やっぱりサンドイッチを食べていたんだ…、ってわかるのですね。
バターの香りの力強いことはハムとレタスのサンドイッチを食べると一層、感じいる。
焼いたパンがバターの香りを発散するのは当たり前…、って思うのでしょう。焼かないパンの食感にバターの香りがまじるステキにウットリしながら、一口、そしてまた一口と食べてちょっといたずらごころに駆られて、お皿の上で簡単料理。たまごサンドのパンを一枚。ハムとレタスのサンドイッチをまた一枚。最初に食べて、残ったサンドイッチを合体させて、ハムと玉子とレタスのサンドイッチにして食べる。
あぁ、口を満たす具材のおいしさ。そして食感。ウットリします、おゴチソウ。

とはいえ、焼かないサンドイッチを楽しみながらも頭の片隅には焼いたサンドイッチのカサカサとした食感がかすめて通る。焼いたサンドイッチと焼かないサンドイッチがハーフーハーフで楽しむことができるとどんなにシアワセだろう…、とないものねだりを考える。
ブレンドコーヒーにミルクを注いで、模様をぼんやり眺めて過ごす。コーヒーミルク占いなんていうのがあったら、この模様。どういう意味になるんだろうなぁ…、と思ってぼんやり。月曜日。

 

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