にぎりたてのにぎりたて。田んぼの朝

代々木の「田んぼ」で朝ごはんを食べようと代々木の駅からてくてく歩く。
とびきりご飯の和朝食を今日は食べるぞ…、とやる気満々。
元気に両手をふって足上げて。てくてく歩いてお店の中に飛び込んでテーブルにつく。
そしたら「にぎりたて」のメニューがパッと目に入る。
実はお店の名前は「おひつ膳田んぼ」。炊きたてのご飯をおひつに入れた定食が売り物で、朝ごはんもおひつご飯がたのしめる。でもおむすびもおいしくて、あっけなくも心変わりをしてにぎりたて。
ここではおむすびのことを「にぎりたて」と呼ぶ。あらかじめにぎっておいたおむすびじゃなく、注文してからにぎってくれる…、にぎりたて。
しかも具材を自由に選べる。しかも自由に具材を選べる。カスタムメイドという贅沢さ。

珍しくって高価なものが贅沢だ…、という訳じゃない。日常的でどこにでもあるようにみえて実は特別という贅沢が本当の贅沢じゃないかとボクは思う。そしてここのにぎりたてはそういう贅沢。
10種類ほどの具材があって、それらを自由に組み合わせにぎってもらうこともできる。オキニイリなのは「おかかと梅」。それから「鮭いくら」。お供に味噌汁、ぬか漬けの盛り合わせにしらすおろしでひとそろえ。濡らしてしっとりさせた竹笊におむすびがのっかってくるのがここのスタイル。みずみずしくて、素朴でけれどうつくしくのせられたおむすびがゴチソウのように振る舞うステキ。オキニイリ。

海苔で巻いた…、のではなく海苔を穿かせて仕上げるタイプ。
ご飯にくっついていない部分の海苔は、ずっとパリパリ。
しっとり張り付く海苔もおいしい。
けれど、パリッと歯切れる海苔も格別…、その両方を味わうことができるたのしさ。よい工夫。
頭にちょこんと中の具材をのっけて提供するのもかわいく愛らしい。
表面はギュッとにぎられ、ご飯の粒のひとつひとつがくっついているようにみえるけど、食べるとハラリとご飯の粒がちらかっていく。
中にはたっぷり具材が詰まる。どこを食べても必ず具材。おかかの香りはゆたかで梅はちょっと甘めでやさしい味わい。鮭も甘塩。いくらの粒がプチッと潰れてトロンと魚卵のジュースが滲んでご飯をツヤッと色っぽくする。

味噌汁もいい。鰹節の酸味を帯びた出汁に上等な味噌。なめこが入っているのだけれど、これが肉厚。トゥルンと舌を撫で回すようなとろみで口の中を転がるたのしさ。
しらすおろしは塩がやさしく大根おろしと一緒に食べると、甘みがひろがる。
ぬか漬けは大根、山芋、にんじん、きゅうりに奈良漬け、たくわん。盛りだくさんでそれぞれ食感、味がことなりまるで野菜の料理のよう。特に奈良漬けはカリカリしていて甘くてどこかほろ苦く、おむすびと相性の良いオゴチソウ。おむすびの最後の一口までにも具材がしっかり残っているとこに、流石を感じる。お腹も満ちて元気になった。また歩く。

 

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