とらやエルメのイスパハン

和菓子のとらやがパリに出店して今年で40年。
それを記念してピエールエルメとコラボしたお菓子が販売されている。
伊勢丹の食品フロアにあるポップアップエリア。
いつもは10店近くが肩を並べてテーマに合わせた食品を売るゾーンが全部とらやとピエールエルメの商品で埋まる。
なかなか壮観。
羊羹、生菓子、餡ペースト。
ピエールエルメのケーキに雑貨とさまざまなものが並ぶ中で一番にぎやかなのが、ピエールエルメの代表作ともいえるイスパハンの風味にしつらえられた和菓子のコーナー。
きんとん製と求肥製。
それにポワールキャラメル羊羹を買ってまずはお供えにした。

お供え場所にバラの花が咲いたような淡い色合い。はなやかさ。
今日はなんだか会いたくって会いたくて、なにがなんだかわからないほど会いたくて、撮った写真を見てたら寂しくなってしょうがないから昼寝した。ちょっと遅めのおやつに食べる。

きんとんはフランボワーズの水ようかんを芯にして白あんで包んで周りにバラとライチ風味のそぼろの煉切。見た目は古典的なきんとんなのに、食べると口に広がるバラの香りとフランボワーズやライチの風味。
一方求肥の芯は葛でかためたフランボワーズのジュレ。まわりをバラとライチの風味の餡。薄紅色の求肥で包む。
求肥の表面に氷餅。わざわざ水に浸した餅を寒晒して砕いた餅のパリパリとした歯ざわりに、伸びる求肥にとろける餡。
リキュールで煮た洋梨をキャラメル味の羊羹の中に閉じ込めたポワールキャラメル羊羹は苦くて甘くてジャリッと潰れる洋梨の食感もよいおとなな味わい。三者三様、どれもおいしくでも秀逸なのは求肥製のイスパハン。泣ける味です…、おゴチソウ。

夜は家で料理を作る。
銀座の老舗洋食店、煉瓦亭の料理の中で一番好きな「ハムライス」を真似してみようと思ってまずはご飯を炊いた。
バターで軽くソテしたお米。
みじん切りにしたニンジンにブイヨンくわえて硬めに炊く。
蒸らしに入るときに追いバター。ポンッと落としてかき混ぜて、蒸気を逃して一層硬めに仕上げてさます。

ハムを角切り。玉ねぎも同じ大きさに切ってスイートコーンを少々。フライパンで具材を軽く炒めたところに炊いたご飯をくわえてシャカシャカ。よぉく煽ってパラパラピラフに仕上げてく。お皿に盛って胡椒をパラリ。ソテしたハムをのせて完成。
この四角のボンレスハムが今ではなかなか見つからず、紀ノ国屋のプライベートブランドがおそらく一番手に入れやすく、今日もそれを使って作った。

今の日本ではハムは上等なものから安いものまでピンキリだけど、かつては肉の加工品の王様だった時代があった。ハムステーキが洋食屋さんのゴチソウ料理だったことさえあって、だからハムを合成に使ったこのハムライスはゴチソウ中のゴチソウだったのでありましょう。上等なハムで作った炒めご飯はたしかにゴチソウ。
カーリーリーフとトマトで作ったサラダを添えて、資生堂パーラーのコーンポタージュをあっためカップに注いで夜のひと揃え。ぽってりとしたスープがお腹をあっためて、炒めご飯をおいしくさせる。途中でライムをキュッと搾って味をキリッとひきしめて、満たされました。ほどよき夜のおゴチソウ。

コメント

  1. よおぜふ

    恋を呼ぶカラー、ピンク。
    人恋しくさせる罪な色でもあるのですね。
    本家エルメでは、毒々しいほどの濃い目のワイン色みたいなカラーですが。
    イスパハンの世界が大好きで、イスパハンの限定スカーフを額装して、家に飾っております。
    ブログ拝見していて良かったー!
    近日中に、とらやさんに行ってみます。地方ですので、小型羊羹しか無いかもですが。
    過ぎゆく時間が、サカキさんの心を慰めてくれますように。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      よおぜふさん
      洋の東西の垣根をこえてうつくしいものはうつくしく、おいしいものはおいしいんだ…、と力強く語るお菓子。
      なのにこんなにやさしく見える。
      元気をいただきました。ありがたいことです。

  2. ヒロユキ

    サカキさん
    初めてコメントいたします。大事な方と、夢で逢うことはできましたでしょうか?
    私も急遽パートナーに旅立たれて、初めての月命日を迎えましたが、夢でも未だに逢うことができない日々が続いており、毎日胸の痛みが離れません。秋の夜は長くて人肌恋しく、一層寂しさが募りますね。
    月が綺麗な夜には、いつも写真を撮って送ってくれた日々が今ではとても愛おしく、一緒に歩いた街を巡っています。彼岸では、月の色も少しばかり華やかなのかなと思いながら、美味しそうなお菓子を楽しませていただきました。
    私もいつか会えることを願いながら、サカキさんのように愛情こもったお供えを捧げたいと思います。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      ヒロユキさん
      そうでらっしゃったんですね…、さぞお寂しいことと思います。
      実は、ボクの彼はまだ夢に出てきてくれないんです。逝ってもう5ヶ月にもなるのに一度も。もしかしたら出てきてくれたのに、ボクが見忘れているのかもしれない。
      なんで?と思うと同時に、夢で会ったらパニックになっちゃうかもしれないボクの気持ちを察してまだ我慢しているのかなぁ…、なんて思いながら、毎晩、ベッドに入ります。
      胸が痛いというのは比喩じゃなくって、本当に痛むんですネ。涙が枯れないというのも、本当に枯れること無くどこからこんなにたくさんの水分が溢れてくるんだろう…、って思うほど。
      秋は寂しい。でもその寂しさから逃げず寂しいときには思い切り泣くことで供養に変えようと思っています。
      ヒロユキさん…、お体、大切になさってください。

  3. よおぜふ

    ハムライスの献立、どこかのお店に寄られたのかなぁ?と思いました。きりっと整っていて素敵です。
    煉瓦亭のハムライス、池波先生の文章でしか知りませんでした。ハムライス?ピンと来なかったのですけど、あぁなるほど、これは姿勢を正して食べるものですね。
    確かに丸いハムでは今ひとつでしょう。
    ピラフとは手間のかかるものなのですね。ここまでとは思っていませんでした。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      よおぜふさん
      めったにここまで手間をかけてピラフは作らないです。昨日はたっぷり時間があって、それでひさしぶりに作ってみようと思って…。思ったよりも上手にできて、夜がたのしくなりました。

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