とびきりの和朝食、とびきりの〆のクープイスパハン

しっかりとした和朝食をひさしぶりに食べたいなぁ…、と帝国ホテルのなだ万に来た。
ここの和朝食が好きである以上に、帝国ホテルという場所が好き。
駅に近くて便利な場所で、レストランが何軒もあり物販のアーケード街も充実してる。この街のすべての人に開かれている…、なのに特別な空気を無くさず凛とした魅力のある場所。
昔はちょっとした街に必ずひとつはあったこういう場所が今ではほとんど姿を消した。
帝国ホテルの建て替え計画が本格的にはじまりそうで、新しくなっても今の空気を無くさぬようにと願ってやまない。
この店もどこと言って変わったところがない日本様式の造りだけれど、素材のひとつひとつが上質にして本物で、気持ちが落ち着く。ホッとする。いつものようにお粥の定食をお願いします。ちょっと待つ。

鮭がメインでお粥に味噌汁。
練り物、里芋、いんげん豆にニンジン、こんにゃく、高野豆腐。
それぞれ味を煮しめて最後にあんでぽってりまとめた鉢物。
上品な出汁の風味のあんがツヤツヤうつくしく、煮汁がジュワッと口を潤すおゴチソウ。
鮭は皮までかっちり焼けてて、下にはかまぼこ。香ばしく焼けたししとう、小さな梅干し。食後の羊羹をたのしみに、丁寧に作られた料理をひと口、そしてまたひと口。
ご飯のともも多彩で大根おろしになめこの醤油煮、茄子の煮浸し、切り干し大根、ひじきの煮付けと奇をてらわない定番ばかりが並ぶところにまたホッとする。どれも丁寧に作ればこういう味になるんだと感心できる仕上がりで、特に切り干し大根のコツコツとした食感残して煮上がったさまにウットリしました。オキニイリ。

前回までは鮭の添え物だった卵焼きが2個づけになり別の器に盛り付けられてた。しっとりとした焼き上がり。出汁の風味に軽い塩味。大人のゴチソウって感じがおいしい。
胡麻の香りがほんのり漂う豆腐にわさび。これもよし。
ずっとここで好きだったお粥用の梅餡は今日もなくって代わりに醤油味の鼈甲餡が添えられている。これはこれで鰹節の出汁の風味が力強くておいしいけれど、あの梅餡の鮮やかな紅。鮮烈な酸味と豊かな旨味が混じり合うおいしさには代えがたくってちと残念。袋の中に収められてるちりめん山椒をパラリと散らして食べるのも乙。ポッテリとしたやさしい仕上がりのお粥でお腹がおいしくあったまる。おゴチソウです、ありがたい。

 

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贅沢な和朝食ではじまった朝。贅沢な〆をついでにたのしもうと三越2階のラデュレのサロン。
クープイスパハンを食べに来る。
ラデュレのマカロンの中でもひときわ特別なイスパハン。バラとライチとラズベリーが互いを引き立て特別な味を作り上げてる名作をアイスクリームで再現したもの。ボクらふたりのオキニイリ。
何度も食べたいと思ってお店にきたのだけれど、最近なぜだかスゴく人気で混んでいて1時間待ちが当たり前。あえなく退散し続けて、今日は開店同時に入店。なのに空いている席が4席くらいしかないという。
聞けば予約でほぼ満席。気軽にフラッと寄れるところがカフェのいいとこだと思うんだけど、なんだかスゴイことになってるんだなぁ…、って呆れ半分に感心しました。フランス王朝風の瀟洒なインテリア。うやうやしいサービスにうつくしいデザートとマダム心をくすぐる要素がたっぷりあるからしょうがないかもしれませぬ。

さてクープイスパハン。霜をたっぷりまとった金属製のボウルに入ってやってくる。冷たさが持続する中空構造、それから素材。
冷たい夢が溶けて壊れてしまわぬようにってステキな配慮。
バラのアイスクリームにラズベリーのシャーベット。ホイップクリームをたっぷりしぼりラズベリーとライチを散らす。タナカくんが大好きだったメレンゲ飾って出来上がり。アイスクリームもホイップクリームもとてもなめらか。そこに乾いたメレンゲがザクザク壊れてまじるところがなんともたのしい。
ライチの香りがエキゾチックてバラの優雅な香りを引き立てる。
おいしいなぁ…、最初はそれぞれ別々だったアイスクリームやクリームが混じり合いつつひとつの味になっていく。いろんなことを思い出しつつ大切に食べて最後のひと口。また食べようネ…、って言ってパクリと味わった。

 

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コメント

  1. らら

    イスパハン…サカキさんのブログで見かける度に一度で良いから賞味したいと思わずにはいられません。ふだんあまり甘いものには凝らないタチなので、より一層気になります。
    響きがエキゾティックで、バラにライチにラズベリーにクリームの組合せ。西欧の夢見た中央アジア…そんなイメージを勝手に持っています。

    • サカキシンイチロウ

      ららさん
      多分、これを作ったフランスの人たちも、中近東に気持ちをはせてエキゾチックなあこがれをこんなお菓子に仕立てたんでしょうネ。
      ボクもあまりお菓子に執着しないほうなのですが、イスパハンだけはなにかシアワセを運んでくれる呪文のように思えて思わず口にしてしまいます。

  2. よおぜふ

    こんにちは。
    ラデュレのお菓子達はまだ未食なのです。
    上品な貴族の食べ物のような敷居の高い感じが少ししまして。
    ラデュレではないのですが、エルメのイスパハンの数々が大好きです。
    今年はついにクリスマスケーキのイスパハン(チーズケーキ)に巡り合えました。
    完成度が高く、特にチーズケーキが好みでないのにもかかわらず、心から堪能いたしました。やはりイスパハンは他の何にも代わりが効かない特別な存在ですね。
    いつか是非ラデュレも、と思いました(^ν^)
    年末年始、寒波で冷え込んできました。
    お身体いつもにも増してご自愛ください。
    良き年明けを願っております。

    • サカキシンイチロウ

      よおぜふさん
      今年のクリスマスシーズンのピエール・エルメはイスパハン推しでしたネ。
      ボクも何度かイスパハンの異なるバージョンを買って食べました。基本の味や香りがゆるぎないからでしょうか…、どうアレンジしてもイスパハンであり続けるところにステキを感じました。
      今日は本当に寒いですね。伊勢丹で買い物をすませてさっさと帰って家で年越しの準備をしています。
      よおぜふさんにもよい年が訪れますように…。

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