すべてが始まった場所、これから始まろうとするビル

新宿歌舞伎町のかつてはコマ劇場広場と呼ばれ、今はハイカラに「シネシティ広場」となのる広場の裏側に「牛たんねぎし」の店がある。
小さく、古く、場末感が漂うこの場所が、実はチェーンのはじまった場所。
厨房の前にカウンター席、向かい側にテーブル席が3つだけ。
炭がおこった焼き場があって、テールスープを炊く寸胴鍋。板場にコンロと昔ながらの牛たん専門店の厨房です。
店が昔ながらなだけじゃなく、焼き場に立っている職人さんは、ずっと昔からここで牛たんを焼いている人。変わらぬ店で、変わらぬ料理を変わらぬ人が作ってる。これほどの安心はなかなか他にはみつからない。
食事をし終えたお客さんが「他の店と違って牛たん屋らしくていいやね」って言ってお店を出ていった。そういうコトでございましょう。

本店を残す経営っていいなと思う。
今では立派な商業施設に高い家賃を払って商売しているけれど、最初はこういう場所でやってた。
それでも人は来てくれたし、だから次々お店ができた。
飲食店は場所が人を集めるのじゃない。
会社の大きさが安心や信頼を作り出すものでもないということを伝える役目を「はじまった店」は果たし続ける。
…、ように感じる。好きな店。
分厚い白たんを3枚6切れ。麦ごはんに出汁割りとろろ、テールスープでひと揃え。
他の店では小分けでやってくる南蛮味噌が壺に入ってテーブルの上に置かれて自由に食べ放題。結構原価がかかるものだからサービス精神旺盛にして太っ腹なのがありがたい。

そうそう。他のお店はお膳をそのまま置いていくけど、ここではお皿を直接並べる。そろそろタンが焼き上がるタイミングで、麦飯、とろろにテールスープがやってくる。ワクワクします。
深く切り目が入ったタンが、こんがり切り目がめくれ返って焼き揚あがる。焼ける間にしみだした脂で揚がったように仕上がって煙をまとって香ばしい。
一味をたっぷり。南蛮味噌ものっけて食べると、突き抜けるような南蛮味噌の辛みと牛たんの脂の旨味が互いに口にやってきて、お腹が燃える。オキニイリ。テールスープは程よいおいしさ。満たされる。

 

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ところでこの店の向かい側にあった映画ビルが新しいビルに建て替え工事の真っ最中。
小さい敷地いっぱいに完成すると48階、高さ225メートルの超高層ビルになるんだという。キーテナントはミュージカルに本格的に対応した大劇場にシネコンと、まさに「現代の歌舞伎」に対応した構成。
ホテルに商業施設も併設されて、できると多分、新宿の人の動きが変わるんでしょう。
都庁のお膝元の目の上のたんこぶみたいな良からぬ街を浄化するのが目的なんだ…、という人もいる。ちなみにデベロッパーは東急系。向かい側はずっと昔から西武の街でかつてならば、すわ渋谷の喧嘩を新宿でって言われたろうけど、どちらもかつての勢いはなし。完成予定は2023年で、実はこの年に東京中で同じようなビルが次々完成をする。どうなるこやら…、わからない。

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