この前は誕生日のお祝いにきたんだよネ…。

寿司屋のカウンターに座ってみよう。
タナカくんを亡くしてから怖くてこれなかったのが馴染みの寿司屋のカウンター。
いろんなことを思い出して感極まってしまうんじゃないかと思うと、なかなか足が向かなかった。
でも寿司は大好きだったから、そろそろ食べさせてあげなくちゃなぁと思って伊勢丹会館の寿司清にきた。
昼は寿司にしようか…、っていうと「いいね」って答えた。
今日は廻ってないとこに行こうよというと「おおっ」となって、ニコニコしながら丸ノ内線に飛び乗った。
行く先は新宿三丁目か新宿西口。三丁目の店はテキパキ、軽快なリズムで握ってくれて気軽にお腹いっぱいになれる店。西口の店は酒を飲みつつ会話をたのしみ、ゆっくり時間をかけて気持ちを豊かにする店。だから西口の店はまだまだお預け。新宿三丁目の寿司清にした…、という次第。

今日はお一人ですか…?と、花板さんの前の席に案内される。
いつもは一番奥の席。
ボクが奥で彼が手前でふたり並んで食べていた。
あの席だったんだなぁ…、と今日は誰も座っていないカウンターの奥をながめる。
そう言えば前に来たのは3月9日。タナカくんの誕生日のお祝いのために来たんだよなぁ…。
なんだかふたりの姿がそこに見えるように感じてじんわり。
景色がにじむ。
冷たい緑茶をアラスカと呼ぶ。
粋だネ…、ってふたりで笑った。
なつかしい。
まず貝を一通りってお願いをする。
青柳、赤貝がやってきて、シャリもいつものように小さめサイズ。青柳のアンモニア臭にも煮た独特の香りをたのしみ、赤貝のクニュっと歯切れる食感もよし。
つぶ貝はバキバキ砕け、ホッキの渋みに舌鼓。石垣貝をコリコリたのしみ平貝。平貝は彼が大好きだった貝のひとつで強い旨味とザクザク歯切れる繊維がおいしい。ホタテをはさんで煮貝をふたつ。ひとつはふっくらやわらかな煮アワビで、もう一種類は煮はまぐり。煮蛤も好きだったなぁ…、なにより甘辛のツメがコッテリおいしくて今日もウットリ。クニュクニュとした貝独特の食感たのしむ。

光り物はコハダとアジ。
小さなコハダを何尾も重ねるように握ったもので、口に入れるとはらりとコハダがほどけて散らかる。
それと一緒にシャリもほどけて口の中が騒々しくなるのがまずうまい。
キリッと酢じめのコハダが潰れ、青い魚に独特の香りがおいしい。
ここのシャリはそもそも酸っぱめ。
食べれば食べるほどお腹が空いてくるようなとこがオキニイリ。

アジは脂ののりがほどよくて、ここの酸っぱいシャリがピタッとよりそう。おゴチソウ。
大正海老を茹でて握ってもらう。エビは本当はあんまり食べちゃいけないんだけど、これも大好きなネタだったか今日は特別。むっちりとした歯ごたえに口の中でどんどん甘みをましてくおいしさ。
今日はスミイカがいいいうのでそれも一緒にパクリと食べた。これまた甘くてシャリを巻き込みあっという間にとろけて消える。

鮪の赤身とトロをもらった。四国から関東に出てきたときにびっくりしたのが魚屋さんの店先が赤く見えたこと。マグロ色だったのですね。
それは彼にとっても同じだったらしくて、付き合いはじめた頃には互いにそんなに食べなかった。ところが50近くになって、マグロ独特のひんやりとした食感、それから酸味がおいしくいつした虜になっていた。今日の鮪のひんやりおいしい。
そろそろ〆に向かっていこうと穴子をたのむ。ひとつは塩、ひとつはタレでにぎってもらってネットリとろける脂を味わう。
最後はカッパ。ふたりのときにはカッパと鉄火を一本づつ。それぞれ半分にして食べていたけど今日はカッパだけにした。それでもお腹は満ち足りて、また来るからネ…、と席を立つ。

 

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