バカイチのかまかけの、おいしいこと、おいしいこと

長崎出身の彼は一時期、香川県の高松にいた。
ボクの両親は香川県の出身で、東京の家を引き払って引っ越した先が高松。
ボクは隣の県の松山出身だから、高松という街のことはボクより彼の方が詳しかった。
ボクが高松で贔屓にしているお店のほとんどすべてがタナカくんに教わった店。そういう意味では高松に帰るということは彼に会いにいくような感じでもある。
そう言えばもう半年以上も高松に帰れてないなぁ…。
母とも話題が結構あって、何度か一緒に高松の母に会いに行ったりもした。

数ある麺類を好きな順番に並べてって聞くと、皿うどんにうどん、とんこつラーメン、パスタに蕎麦って順番だなって言っていた。
しかもそのうどんはコシの強い麺をいりこの出汁で味わう讃岐のうどん。
東京でそういううどんを探すのって大変なんだよね…、って言ってたときにできた新宿の麺通団。
熱狂的に一時期通っておりました。入り口で麺を受け取りトッピングも汁も全部セルフというスタイルも讃岐的でよろこんでいた。

ここまで讃岐的ではないにしても旨いうどんを出す店が次々できて、それでこの店への熱狂は薄れていった。しかも家の近所に讃岐の名物うどん店が、そちらを閉鎖。四谷に移転と、まるでボクらを目指して来てくれたような感じで、よく使ってた。
麺がおいしい店にくると、ときおり釜揚げを食べていた。小麦の香りがたのしめる茹でたてだからこそのおいしさ。そういえば「かまかけ」ってのを出す店があって、ありゃ、本当に旨いんだ。いつか一緒に食べにいこうよ…、と言ってた翌月、運良く一緒に食べる機会に恵まれた。
その時の写真があったはずと探して、見つかりました。去年の秋の思い出です。

 

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前から来たかった店に行こうよと電車に乗る。市電の琴電。なつかしいねぇ…、なんて言いながら2両編成の小さな電車にのってゴトゴト。降りた最寄り駅は住宅街の中にありそこから歩いて数分ほど。
ポツンとお店が見えてくる。
うどんバカ一代っていうお店。
民家のような店で周りに駐車場がぽつりぽつりと点在してる。ひっきりなしに、そこをめがけて車が突っ込んでくる。車を停めるとニコニコしながら出てきてお店に入ってく。旨いうどんを喰ってやるぞって気合が伝わる。
店に入った瞬間、甘い小麦の匂いにむせる。カウンターの右端でうどんを注文。左に移動しながら天ぷらなどを好みで選びお金を払う。一番人気は釜玉うどん。ただボクの今日の目的は「かまかけ」。茹であげのうどんを水で〆ずに器にうつし、上から熱いかけ汁かけて仕上げる料理。

茹でおきじゃなく茹でたてです。
本来ならば時間がかかる。
けれどここはいくつもの釜でうどんがずっと茹で続けられている。
大きな釜の中にたっぷりお湯。それがブクブク沸騰していてだからそれほど時間がかからず出来上がる。
飴色よりのうつくしい麺。角はしっかり残ってる。けれど洗ってないからところどころがちぎれていたり毛羽立ってたり、箸で軽く汁の中を泳がせると汁が軽く濁ってく。
たぐるとなめらか。トゥルンと唇撫でながら口の中へと飛び込んできて噛むとむっちり。歯ごたえたのしくけれど硬さを感じない。
コシがあるのにやわらかで、やわらかなのに噛むたのしみが持続する。芯まで熱くて、汁の旨味がどんどん麺の中に入っておいしくなっていく。小麦の香りも鮮やかで食べはじめるととまらぬおいしさ。ネギに生姜に天かすにと薬味をあれこれ投入しながらズルンスルンと味わっていく。

お供に天ぷら。竹輪といんげん豆を選んでとった。本来ならばうどんのトッピングとして味わうべきところ、あまりにうどんが完成された味わいで、だから乗せずにそのまま食べる。
ウスターソースを少々かけてうどんを食べては天ぷらパクリ。うどんのおかずにして味わった。それからお供に太巻き二切れ。讃岐の太巻きはシャリが酸っぱくさっぱりとした味わいで、巻いた厚揚げはみずみずしくて口が潤う感じが独特。
麺のでんぷん質が汁に溶け出しとろみがでてくる。イリコの香りに昆布の風味。自然な甘みにウットリしながら気づけば器は空っぽ。お腹がほどよく満たされる。

 

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コメント

  1. Adacci

    昭和40年代後期、高松市伏石町に4年半ほど住んでいました。サカキさんのご帰省や東京のうどん名店をめぐる書き込みを楽しみに読んでおります。最近タナカさんも高松にゆかりがあったことを知りました。親しみがさらに増します。

    麺通団も久しく顔を出しておりません。丸○製麺で満足してしまった自分がちょっと怖くもあります。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      Adacciさん
      「おなじみ」に「おふくろ」。不思議と高松の街にはひらがな4文字の店名のお店が多くあって、それらをめぐる旅なんてのを一緒にしたことがありました。
      なつかしい街。そして思い出のぎっしり詰まった街でもある。時節柄なかなか帰省することもできず、早く自由に行き来ができるようになればと思っております。

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