お魚和食の澪つくし

クリスマスの夜。特別なディナーをどこでしようかといささか迷った。
男だけの夕食です。イタリア料理やフランス料理の店に行ったら、少々、バツの悪い思いをしそうに感じる。なによりそういう店はどこも混んでいそうで、ならばいっその事、おいしい和食を食べましょう…、と、ひさしぶりに「澪つくし」に来る。
魚がおいしい日本料理のお店です。
千駄ヶ谷にある魚だけのイタリア料理のボガマリ・クチーナ・マリナーラの兄弟店で、今年の6月に出来たばかりの新しい店。厨房のかたわらに魚を並べたショーケースがあり、そこで魚を見ながら料理を決める…、という仕組みもボガマリとほぼ同じ。ただ和食の性格上、小鉢、突き出し、〆の料理とちょこまかとした料理までをも相談しながら決めるというのはめんどくさい。最小限のメニューが用意はされている。

そのメニューを見ながらイマジネーションを膨らませ、自分で献立を組み立てるためのヒントのようでそれはそれ。
まずはお通し。あんこうの身をあん肝であえたとも和えで、あん肝ネットリ、身もネットリ。スパークリングワインで寿ぐ。
ワインリストも日本酒、焼酎のリストも気がきいていてしかもほどよい値段というのがなんともウレシイ。

そして今日の一皿目。生牡蠣がくる。小ぶりでミルキーな風味、なめらかさが特徴的な牡蠣と、ネットリ濃厚味の太った牡蠣がひとつづつ。牡蠣が含んだ塩の塩梅が絶妙で、ポン酢を垂らして食べると甘く感じる。軽い渋みが牡蠣の旨味をひきしめる。滋味を感じる海のゴチソウ。

今日は何がおいしいの…、って聞くと真っ先にセイコガニ。
香箱としてご用意もできますが、七宝造りがおすすめです…、というのでそれ。
蓋付きの器を開けると中にセイコガニの身をほぐしたもの。ウズラの玉子の黄身の上にカニの玉子が散らかって、イカにいくら、ウニに白子が周りを囲む。
それらを支える土台の部分は釜揚げしらす。出汁のジュレが周りにちらかり、それらを全部混ぜて味わう。

いやはや、これのおいしいコト。
しっとりとしたカニの身にネットリからみつくウニの風味と濃い旨味。膜が頑丈なイクラはブチッと潰れて壊れる。白子のとろけをイカのクニュっと硬い食感が引き立てて、カニの玉子がボロリと崩れる。それら全部を釜揚げしらすがまとめてしっとり、ひとつにしながら消えていく。ひとつひとつがおいしい上に、一緒に食べるとそのおいしさが一層引き立つ。ウットリします。

状態の良いたらの白子があって、炭焼も良し。
天ぷらにするのも良しで迷っていたら、バターでソテしてトリュフと一緒に食べると絶品ですよって言われてそれにする。
バターの風味をまとわせ焼けた白子の上にからすみタップリ。
それだけで十分おいしいところに黒トリュフを削ってパラリとたっぷりかける。
香りもいいけど、ザクザクとしたトリュフ独特の食感で、白子のとろける感じを一層、なめらかにさせて味わう趣向。白子のコクにからすみの風味が混じって味わい複雑。
噛むとプチュンとはじけるように中身がとろけてでてくる感じに、体もとろける。

これに続いてアゲマキガイの炭焼きがくる。細長い二枚貝でスッキリとした繊細な味。旨味に香りが上品で手をほとんど加えず炭の香りで味わうシンプルだからこそのおいしさ。緩急つけた料理の構成…、いいなと思う。

ついさっきまで鉢の中で生きてた才巻。それを贅沢にエビフライにしてもらう。
生きてたエビやカニはおいしい。熱を加えると甘さ格別。しかもムチュンと歯ごたえもよい。パン粉がカサカサ口で散らかり、ムチュンと感を一層おいしく際立たせるのにウットリします。
頭もカリカリ、尻尾もカリカリ。揚がった足は香ばしくパラパラ散らかる。お供についてくるのがタルタル。茹でた玉子に刻んだいぶりがっこが混じってる。軽い燻製の香りと食感。エビフライと一緒に食べるのもおいしいけれど、そのまま食べても酒をおいしくしてくれる。

そして最後の一品がくる。
焼いておいしい魚はありますか?…、って聞いたらカマスはいかが…、と。
見るとたしかに立派なカマスで色はキレイで目もキラキラしてる。
ただ、カマスっておいしい記憶の無い魚でどうしようかとちょっと迷った。
水っぽくって、肉質やわらか。ちょっとでも鮮度が落ちると臭みが出てきて、何度かえらい目にあったことがある。ただ、おいしいですよ…、という顔が真剣。自信に満ちた表情で、ならば任せてみましょうかとたのんでみた。

そしたら最初に盛り付けるための皿だけが来る。
上にはあしらい。酸っぱく仕上げた茹でレンコンに里芋コロッケ、焼いたかぼちゃと秋気配。
それに続いて大きな壺。
竹串が2本ささって、それを持ち上げると中から煙が噴き出してくる。壺の中で燻製にして仕上げたカマス。こんがり焼けて、皮目がパリッと。軽く味噌に漬けて余分な水気を吸い取り、しかもじっくり時間をかけて焼いているから身はしっかりと仕上がっている。
いやはや、おいしく食べました。ボクの中のカマスという魚の評価がグーンっと上がるほどの出来栄え。まだまだ発展途上のお店。試行錯誤で今までにない和食のお店になってくれるとうれしいなぁ…、って思ったりした。また来よう。

 

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コメント

  1. mmm

    すばらしい料理で店舗名も素敵ですね。
    夢中で読んだ小説「みをつくし料理帖」を思い出しました。
    江戸時代のおんな料理人のお話しなのでサカキさんにもおすすめです。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      mmmさん
      NHKでドラマにもなった物語ですよね。
      ずっと前に買っていながら、読むきっかけがなくほったらかしにしているのを思い出しました。これをきっかけに年末年始で読んでみようかなぁ…、なんて思いました。

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