花に焼く肉

午前中で打ち合わせが終わって場所は新宿三丁目。せっかくだからお花見でもと新宿御苑にやってきてみる。平日ということもあってごった返すというほどでなく、でも海外からお客様の多いことに今更ながらびっくりします。
桜の花はといえばまだまだ五分咲き程度でしょうか…、庭園の大きな池に龍が桜に姿を変えて降りてきて水飲むような景色はまだまだ先のよう。
でも今週末には雨になりそうで、いつが見頃かちと迷う。
とは言えソメイヨシノは今が見頃で、風に震える可憐な花びらを空に透かしてみるとなんだか心が熱くなってくるようでウットリします。春の午後。

昼は焼肉。「花と肉」…、と洒落てみました。
場所は新宿御苑の正門近くにある「長春館」。いつも人気の店ではあるけど、今日のにぎやかさはかなりのモノでお店の人もてんやわんや。
「毎年、花見の季節になると忙しいのよ…」ってニコニコしながらお店の中を走り回ってる。
たしかにいろんな国の人たちもやっては来ます。けれどびっくりするのがおなじみさんが多いこと。しかもお年寄りの常連さんが次々やってきて、おひさしぶりなんてお店の人と挨拶をする。
ココで肉を焼かないと御苑の桜を見た気分にならないからね…、なんていいつつ元気に肉を焼くのをみると、なんてステキとニッコリします。
アルミのトレイの上に水鉢。炭を入れた鉢が置かれて上に網。
小さなダクトが天井から吊り下がっていてそれで煙のすべてが吸われるわけでなし。煙を軽く浴びながら焼く焼肉はまた旨し。

ランチの焼肉は弁当箱に入ってやってくる。
肉にキムチ、サラダにもやしのナムルがそれぞれ仕切りで分けられ収まっている。
生の肉と生の野菜が隣接している…、というのがちょっと微妙なところ。
まずはサラダを全部食べ、キムチはご飯の上に退避させる。
ついでにネギタン塩もたのんで分ける。
刻んだネギに塩をたっぷり揉み込んで休ませたものが薄切りタンと一緒にやってくる。
休ませるコトでネギが息をして辛味を吐き出す。
そのまま食べてもご飯がすすむ肉の相棒。

肉は2種類。和牛のロースと和牛のカルビ。ロースは赤身がしっかりしていて、歯ごたえがよい。カルビはキレイな脂が網目のように入って焼くと脂がとける。とけつつ肉を揚がるように焼き上げていき、表面こんがり。噛むとクチャっと肉が潰れて旨味がジュワリ。なんとも旨い。

ご飯の上に肉をのせます。キムチにカルビ、ロースにネギとあたかも焼肉丼のよう。タレを揉み込んだ肉だから焼いたらすぐにたのしめる。ココには青唐辛子の味噌があってそれをのっけて食べるとビリリと脂の甘みが引き立ち旨い。
焼いてるうちに網がどんどん焦げていく。お店の人が交換しましょうか…、って言ってくるけどそのまま焼いてく。だって網の上にこびりついた脂や炭も味の一部で「網を育てる」ってことも焼肉の楽しみ方のひとつでもある。
〆に冷麺。スッキリとした牛骨スープに大根や白菜を発酵させた酸味スープがほどよく混じる。冷やしてゴリゴリした食感の麺もおいしくて、パイナップルを食べて〆とす。オキニイリ。

 

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コメント

  1. to22by

    やっぱり春は桜ですねえ、言葉がありません。40年以上見てません。ノルウェー人はスキーを抱いて生まれてくると言いますが、日本人は富士山と桜を抱いて生まれてくるのでしょう。

    • サカキシンイチロウ

      to22byさん
      なぜなんでしょう…、今の季節、さくらの花をみるとしみじみシアワセを感じます。ありがたいことです。

  2. りんご

    忙しくってもニコニコ。網を育てる桜日和。
    こういう方ばかりなら、「どうだ!これが我が国、日本だもんね」と思うのです。
    最近怒っている、というか万事につけて絡んでくる人ばっかりになっちゃった気がします。
    何でもかんでも言ったもん勝ち、怒ったもん勝ち・・・無粋ですよね。
    こんなにきれいな桜の季節なのにね。

    • サカキシンイチロウ

      りんごさん
      「粋」という言葉。
      日本の美徳のひとつが今や絶滅の危機にあるように感じます。
      言うべきことは言う。
      けれど「言う」ということと「言い負かす」ということはまるで違った行為であって、何事においても「お互い様」がまかり通るようになってほしいなぁ…、と思います。
      密やかに先、潔く散る。その散るさまを愛でる日本人の感性がなくなりませぬよう…、と桜の季節に思います。

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