お腹の中のタナカくんが天丼を食べたいと所望する!

ボクのお腹のタナカくんが、天丼食べたい…、とおねだりをする。
メトロ食堂街のつな八のイートインはなくなっちゃった。ということはこの新宿でオキニイリの天丼が食べられるのは伊勢丹の中の天一となる。迷わずいきます。
ガラスの箱の中に設えられたモダンな空間。いつもほとんど並ばず食べられるのがありがたく、日曜の今日もひと組待って案内される。ひさしぶりのここ。随分仰々しくなっちゃいました。飛沫予防シートがテーブルごとに張られてて、お店の人もフェイスガードが大きなマスク。
今どきしょうがないことなのでしょう。安心も今の時代の先味のひとつなんだと思うことにする。ここに来て注文するのはただひとつ。迷うことなく特製天丼「松」を選びます。今まで何回くらい食べたろう。50回は一緒に食べたんじゃないのかなぁ…、なつかしい。

大きな蓋付きのどっしりとした丼。汁にサラダに漬物が丸いお膳の上に並んでやってくる。丼の蓋をとると香ばしい天ぷらの香りがフワッと蒸気にのって漂う。天丼ならではのこの「蓋をとる」というひと手間がなんともたのしい。
それにしてもいつもすべてが同じである…、というのに感心します。
レタスにきゅうり、玉ねぎ、ニンジンというサラダの具材に生姜風味のドレッシング。漬物は判で押したようにタクワン、柴漬け、刻んだ葉っぱ。天丼のネタもいつも変わらずで、日本の料理は季節の料理ということを度外視したような「いつもと同じ」。

思い出は季節を超越するのです。
その思い出をたのしみにやってくる人にとって、いつも変わらないということほどうれしいことはないのです。

カリッと揚がったしっぽまでおいしく甘い才巻海老。
2尾仲良く並んで主役の場所にそっと置かれる。
キスが一枚。
アスパラガスに小エビのかき揚げ。
穴子が半尾にタナカくんが食べることができなかった海老真丈詰めのしいたけの上にはゆずの皮がひとかけ。いつも同じで、おそらくこれからもずっとおんなじ。来るたび一緒に食べたときのことを思い出せるのは本当にシアワセ。ありがたい。

それにしても天丼という食べ物。不思議で贅沢。
揚がったばかりでパリッとサクッと仕上がった衣がタレで台無しになる。それを蒸気を含んだご飯の上にのせて一層台無しにして、蓋して運んで食べるときにはすっかりしんなりしてしまう。けれどそのしんなりでふかふかこそが天丼という食べ物の醍醐味のひとつで「天ぷら+ご飯」とはまるで別物。ご飯に天ぷらの衣の油まじりのタレが染み込みおいしくなっていくのもまたいいところ。
タクワン使って丼の中を拭いしじみの実のひとつひとつもキチンと食べた。粋がって貝の実残すと彼は真顔で怒ったからネ。だからキレイに食べました。
彼が食べてる写真を探しても見つからない。けれどタナカくんが自分が食べてるところをイメージしながら描いた絵が一枚。そうそう、こんなふうに豪快に、おいしそうに食べていました。なつかしい。

 

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コメント

  1. のえまみ

    サカキさま

    新宿三丁目のつな八本店はまだやっているのでは?
    なんだかこのところいろんなお店の動きが悲しいことになっていて…。
    つのはず店は閉店かしら?
    天ぷらほど、家で作るのとお店で出されるのとの別物感がはっきりしているものって…ね!

    こんな時間にプロの天ぷらロスが起きてしまってどうしましょう??

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      のえまみさん
      つな八本店さんはまだ営業中。でも彼が好きだったのは西口メトロ食堂街のイートインの天丼。まるで別の料理だったんですよね。
      だから寂しい。
      寂しいけれど、他にも何軒か一緒にいって、おいしいねって喜んだお店があるので、そこを訪ねて歩いてみようと思っています。

  2. りんご

    天ぷら屋さんのカウンターはお寿司屋さんのそれよりだいぶ敷居が高い私にとって、天丼ってかなり大人な食べ物です。
    粋な方はこれでお酒をあがったりするのでしょうか?
    和食って奥深い、、、

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      りんごさん
      確かに天ぷら屋さんのカウンターで、自然に振る舞うのってかなりハードルが高く感じますよね。それに比べて天丼のおおらかで気軽なこと。お酒が大好きなタナカくんも、天丼ならお酒を飲まなくてすむから、気軽でいいよねって言っていました。

  3. のえまみ

    サカキさま

    そうですね、思い出も大切な調味料ですものね。
    かつてメトロのつな八に、毎日のようにお昼のカウンターにいらっしゃるというおばあちゃまが。
    日本酒をくいくいっと、天ぷらを少し…。粋な召し上がり方でした。
    そう、そんなことを思い出しました。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      のえまみさん
      つな八のイートインのような気軽な店って、そのおばあちゃまのような自由な楽しみ方ができるんですよね。
      新しくてピカピカな店にはない、長く愛され続けた店ならではの良さ。無くなってほしくないと思います。

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