お汁粉に甘煮、それから芋粥。時間がおいしい調味料

伊勢丹の地下で買い物をして、とらやでお茶。
かき氷が終わってしまってお店の中はいつもの静けさ。店の壁の凹みに張られる幕も栗の意匠になってすっかり秋モード。さて、何を食べましょう…、とメニューを見たら汁粉があった。
つぶあんを使った小倉汁粉に、白あんの白小倉。それからこしあんの御膳汁粉と3種類。
餅は角餅。関東風でございます。
そもそもあんこが好きじゃなくだから汁粉を食べることってまずなかった。たまに食べると胸焼けをおこしたこともあったほど。
ところが…。年をとると和菓子がおいしくなるのです。年々あんこに対する抵抗力がどんどんついて、今ではこうして「お汁粉食べたい」病を発症するようになる。今日は抹茶グラッセ、冷たい抹茶ドリンクをお供にもらう。

小ぶりのお椀に入ったお汁粉。ぽってりとしてなめらかで真ん中が焦げて仕上がる四角い餅が沈まぬ程度の濃度があって、甘い香りが漂ってくる。
餅もなめらか。スプーンにのせて持ち上げてみると、スプーンからはみ出した部分がとろんと伸びて汁粉の中に向かって浸かる。
汁粉は甘い。食べ続けると喉の奥がヒリヒリしてくるほどに甘くて、けれど甘さに深みがあってなにより徹底的になめらかで、ときおり感じる豆の小さなつぶつぶに気持ちがホッとしてしまうほど。
餅の焦げた香りにねっとり奥歯にからむ感じもおゴチソウ。泡をふっくら頂いた冷たい抹茶の苦味が口をさっぱりされる。さぁ、帰る。

 

関連ランキング:甘味処 | 新宿三丁目駅新宿駅新宿西口駅

 

お供え物にと辨松さんの「甘煮」を買った。
甘煮って名前の通り、砂糖でこの上もなく甘く仕上げた野菜の煮物。
ニンジン、ごぼうにしいたけ、里芋。
かぼちゃの甘煮も別に買い、それと一緒に「つとぶ」を買った。
すだれのことを「つと」といい、そのつとで巻いて仕上げた麩だから「つとぶ」と呼ぶ。ムチュンとやわらか。粘らぬ程度にやわらかで食べられるガムって感じがたのしい。
甘煮を買うといつも取り合いになっていたのがこのつとぶ。だから今日はつとぶをいつもの倍買ってタナカくんを喜ばすことにした。ちなみにしいたけが入っているのでそれは取り出し別皿にした。
この甘いので飲む芋焼酎は格別なんだよネ…、っていつも言ってた。だから一緒に芋焼酎も横に置く。

お粥を炊いた。昔、ボクの具合がどうしようもなく悪くて食欲すら失せてたときにタナカくんが作ってくれたさつまいもの粥。
作ってくれたときには「なんで」と思ったものです。だってさつまいもは苦手な食材。栗ご飯みたいな甘い素材とお米の組み合わせは身の毛もよだつって嫌っていたのを知ってたはずで、なのになんで芋粥なんてと最初は見向きもしなかった。
けれど、騙されたと思って食べてごらんよ…、って言いうから食べたらこれがどうしようもなくおいしかった。

やさしい甘さが粥をおいしくしてくれる。他になにか入れたの?って聞いたら時間をかけてただただ煮込んだだけなんだよ…、塩は少々入っているけど、一番の調味料は「時間と弱火」。
だから今日もたっぷり時間をかけたつもりがあのとき食べたお粥ほど、なめらかさとかやわらかさとか、何かが足りずそれほどおいしく感じなかった。
せっかくストゥブでおしゃれに作ってみたのにネ。時間をかけて我慢するってやっぱりボクには苦手なことで、とは言え今日みたいな涼しい夜にはありがたい。甘煮のしいたけ、梅干しをお供にしみじみ味わった。

コメント

  1. よおぜふ

    さつま芋のおかゆ、初めて見ました。九州由来のお料理でしょうか。
    見た目からしてあったかで、タナカさんのやさしーい感じが溶け込んでいるようなお料理。お味もきっと、やさしく染み込んでくるようで、身も心もあったまりそうですね。
    タイミングよく、手際良くまとめるサカキさんのパスタ。性格が出るんでしょうか(笑)
    もはや身内気分ですみません。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      よおぜふさん
      ボクの両親の田舎、香川県でも食べるようでただ母は戦中戦後のお米が基調だった時代のことを思い出すから大嫌いだってあまり作りませんでした。芋粥嫌いは母の血かもしれません(笑)。
      ボクは「料理は勢い」というのがモットーで、サンドイッチはそんなボクにとっても一番手間と時間をかける料理かもしれません。
      タナカくんは時間の感覚が万事においてもゆるやかで、一緒に出かけるときにはいつもボクが急かしてました。

  2. エリーママ

    辨松といえばこのつとぶ!子供の頃は弟と取り合い。アメリカから一時帰国のたびに伊勢丹地下で買い求め、今では子供と取り合い。この美味しさは唯一無二。辨松さんのツイートみては 次回の一時帰国を夢見ています。
    おふたりもお好きと伺い ますます嬉しいです。

    • サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

      エリーママさん
      もっといっぱい入ってるといいのにね…、って言っては取り合い、ならばつとぶだけを追加すればいいんだと足してもそれでも取り合いになる。
      つとぶの魅力は魔力に近いですよね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。