おひつごはんにだし巻きたまご、やげんぼり
赤坂見附で昼ご飯。ひさしぶりに「やげんぼり」にする。
京都、祇園の和食の老舗。
赤坂に店を構えてもう40年以上というから東京ではもう老舗の域です。
柳の下に門構え。白い暖簾に店名の入った行灯。ここだけちょっと京都な気配。
靴を脱いで座敷に上がる。
夏は素足にサンダルだけど、こういうときのために靴下一組カバンにいれて歩くことにした。今日はそれが役立ちました。
厨房の周りをぐるりカウンター。
調理の様子を一番間近にみてとれるカウンターの角をもらってのんびり待ちます。
それにしてもカウンターに花がら模様のビニールクロスをはっているのがおばあちゃんちの食卓みたいでなんとも無粋。おそらく昼だけなんだろうと思いはするけど、それだけ昼はいそがしいってことなんでしょう。しょうがない。
だし巻きたまごが人気のお店。それがメインの「八坂だし巻き卵定食」を選んでたのむ。
テキパキ食事の準備ができる。ご飯を収めたおひつにしゃもじ。どちらも磨き込まれて表面ぽわんと毛羽立っている。水をくぐらせ湿らせて中のご飯を乾燥させぬ工夫があるのが、昔ながらに粋で良い。
ご飯のおともの漬物、ひじきの煮物にちりめん山椒。茶碗が御膳に並んで出てくる。いつもはこれらでご飯を食べてだし巻きたまごを待つのだけれど、今日はあっという間にだし巻きたまごができて一緒にやってくる。

お味噌汁があとからおっかけやってきて、昼の料理が揃います。
大きな四角い卵焼き用の鍋を操りながら、溶いた卵が魔法のように四角くなってく。
一度に作るのが2人前。
板に取り出ししばらく休ませて包丁入れて2切れにする。
出汁がじゅわっと滲み出して、湯気と一緒にやってくるのがなんともステキ。
箸で触るとふるんと揺れる。
軽く絞って醤油を加えた大根おろしをかたわらに、おいしい香りが食欲誘う。
お皿の上では形をしっかり保ってて、箸で切り分け持ち上げられる。ところが口に含むとあっという間に崩れてほどけ、口の中がみずみずしくなる不思議ウットリ。
歯を必要とせぬやわらかさで、舌と上顎でこわれていくのにもまたウットリ。
ご飯の上にだし巻き卵をのっけてご一緒に口に放り込む。出汁とご飯が一体となり、焼けた卵のフルフル感がご飯の輪郭をはっきりさせてくれるよう。
ご飯をおいしくさせる漬物、ちりめん山椒。漬物は全部で5種類くらいはありますか。どれも京都仕立ててで上品、上等。ちりめん山椒は自家製で山椒の粒が爆ぜてビリリと痺れが旨い。
だし巻き卵が盛り付けられていたお皿に出汁がたっぷりたまる。ご飯の上にだし巻きたまごをのせたところに、大根おろしと一緒に出汁をのっけて食べると出汁かけご飯のようになるのがなんともおいしい。おゴチソウ。









