おかめの豆かん

おかめに来ます。
ちょっと疲れた感じがして、場所は有楽町の町外れ。
体とココロを同時に癒やす何かを体にゴチソウしたい。そう思ったら無性にココに来たくなった。それでココ。

交通会館という有楽町の駅前にある古いビル。
ビルの周りはとてもニギヤカ。銀座に向かう人たちや丸の内で働く人たちが行ったり来たり。
なのにビルの中に入ると空気が一転。
静かでおだやか。
特に地下の食堂街は空気だけでなく、時間の流れまでもがおだやかになったように感じるくらい。
ならば空気がよどんでいるか…、というとそんなことはない。
むしろいきいきしてて、変わらぬリズムで動き続けているようで、気持ちがホっとするのです。

テナントとして入っているお店もほとんど変わらない。どこもがほどよく繁盛していて、おなじみさんをしっかり持ってる。ビルの中に収まっている「駅前商店街」のような風情があって、ひととき21世紀の東京都心にいることを忘れさせてくれるところがまたステキ。

そんな地下の商店街に溶け込み佇むお店のひとつ。ひなびたお店でございます。
お店がひなびているだけじゃなく、働いている人たちも店と同じく歳を重ねて枯れた感じ。空気までもがとてもおだやか。

歳をとる。
57歳という年齢です。
もう57歳と考えるより、まだ57歳と考えるならまだがんばれる…、という人がいる。世間的にはそういった方がかっこいいのかもしれない。
けれど、57年も生きてこれたと過去を噛みしめ、しみじみ「もう57歳」といえる気持ちや時間もステキ。
だって57歳になったから、こういうお店のこういう料理をおいしく感じるようになれたんだもの。歳をとるとはなんとステキなことだろう…、ってしみじみ思う。

若い人が元気で働く店も良い。
けれどボクと彼らは違う日本を育った同じ国籍の異邦人。しゃべる言葉も違ったりする。その点、熟年世代が働くこの店は、同じ時代を生きてきた人たち同士が育むムードとでもいいますか。しみじみとした安心感を感じるところがアリガタイ。

それにしてもこの豆かんは本当においしい。
豆と寒天。
あとは黒蜜という、シンプルこの上ない組み合わせ。
だからそれぞれがしっかりとした役目を果たしてくれないと、とぼけた料理になってしまう。
豆かん食べてて、やっぱりあんこが欲しかったとか、ココにフルーツの酸味があったらもっとおいしくなったろうな…、と感じてしまうコトがある。そして結局、みつ豆にすればよかった…、なんてコトになっちゃうワケです。
けれどコレ。寒天は香りゆたかで原料にした海藻の風味が口の中を満たしてウットリさせる。
コリッとかたくて、けれどホロリととろける食感。そこにほどよく茹でた豆が混じってコツコツ、ホロホロ、口の中をニギヤカにする。
濃厚だけど後味さっぱり。やさしい甘みの黒蜜はたっぷりかけて他の素材の持ち味殺さず、味のバランス整える。

味わいのある素朴なグラスに一杯分。量もほどよく、急いで食べるとあっという間になくなりそうで、自然とユックリ。お茶をお供に時間をかけて食べていく。食べてるうちに、気持ちのペースが整うのです。
甘味というのは単に甘いものじゃなく、気持ちと体を甘やかし、あるべき自分を取り戻すもの…、なのかもしれないって思ってのんびり。
注いだときにお盆に垂れた黒蜜までも、指で拭ってキレイに食べた。
これで690円。そう言えば、昔はもうちょっとだけ安かったよなぁ…、と思って昔の画像を探してみたら半年ほど前には660円だったというのを確かめて、でも最近、いろんなモノの原価が上がっている中でこれでも十分安いんだよなとしみじみ思う。その伝票に、並ぶみつまめ、ところてん。汁粉に雑煮とどれをとってもおいしげで、また来なくちゃネと思って、よいしょと立ち上がる。

 

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