おかえりなさい、「てんぷら山の上」の朝、和朝食

まだ台風は日本列島の上にずっしり居座って、不穏な風をこの東京にもふかせてる。
けれど空は明るく青い。今朝までの雨で空の汚れが洗い流されたようにも見えて、ゴキゲンな朝にスタートしましょう…、とお茶の水。山の上ホテルに朝食を食べに来た。

おいしい和朝食を食べたいなぁ…、と思うと頭に浮かぶ場所。
昔は天ぷらが旨い日本料理の店で朝食がふるまわれていた。今では地下のメインダイニングで和朝食が提供される。ここも合理化…、ってちょっと切なく、でも提供されるだけでもシアワセ。メインダイニングに行って、和朝食を注文をする。
すると「和朝食はてんぷら山の上でのご提供となりました」って…。なんとウレシイ。階段を2段飛びして駆け上がる。

白木に白壁。カウンターの奥には白木扉の氷蔵庫。
飾りっ気のないすがすがしい空間が、朝の光に黄金色に輝く景色。
和朝食はこういう場所で食べてこそ、特別なモノになるんだ…、ってウットリします。

注文をしてちょっと待ちます。
ほうじ茶片手に新聞をユックリ一面、また一面と株式欄のページにたどり着く頃合いで朝の料理がやってくる。

提供方法は少々変わった。昔は大きな四角いお膳に木枠の松花堂が置かれて中にギッシリ料理が詰め込まれているという趣向。
今朝は半月盆に料理が並び、ご飯、汁はサイドに控える。お膳の向こうには食後の甘味でひと揃え。提供方法は変わっても料理の内容は昔通りで、あぁ、なつかしい。

ホッとしながら背筋が伸びる。大きく息を吸い込んで、おいしい香りでまずは体の隅々満たす。
ご飯と汁はおかわり自由。なによりココのご飯はおいしい。ピカピカ、ちょっと硬めの仕上がりがボクの好みでご飯だけでも気持ちが満ちる。そのご飯をおいしく味わうための料理だけが並んだ潔さ。

ご飯の上にまずちりめん山椒。
ココのお店の名物で、お土産としても売ってるモノ。
それをたっぷり。シットリしていて、噛むとプチリと山椒が砕け舌の奥を痺れさせて、お腹と頭を目覚めさす。

太ったたらこがほんの少々。
もずくの酢ものはズルンとお腹に流れ込み、背中をブルっと震わすゴチソウ。
ほうれん草のおひたしはキュッキュと奥歯をくすぐるようで、にんじん、豚肉と一緒に炒めたきんぴら仕立ての山くらげ。どれもご飯をおいしくさせる。

朝ご飯って、どれだけご飯をおかわりできるか…、おいしく味わい尽くせるかが大切なとこ。だからこういう気の利いた料理がほんのちょっとづつ並ぶ食卓はなんともうれしい。しかもすべての料理が入った器が、みんな違った形なのです。素材は同じ柔らかめの陶器でだから、ツヤに手触り、風合いが同じでそれで統一感が出るという、日本のモテナシ。目に麗しい。

出汁をたっぷり吸わせた煮物。練り物、にんじん、大根とどれにも味が芯までしみてお腹を潤すご飯のお供。皮目がバリッと焼けた干物は脂がのって、皮までザクザク。口の中でジュワリと脂がとろけてく。甘さ控えめの厚焼き玉子。玉子の香りがフワッと鼻からぬけていく。
キュウリ、山芋の浅漬けに刻んだ白菜のぬか漬けたっぷり。お膳の上では真正面に陣取って、まるで主役のようにふるまう。たしかにおいしくみずみずしくて、歯ざわり鮮烈。朝の口においしいもてなし。
梅干し、焼き海苔、なめこ汁。ご飯をほんのちょっとだけお代わりをしてお腹が満ちる。最後に残った水ようかん。豆がほんのちょっとだけザラリと残る、なのにプルンとやさしい口溶け。堪能しました、ハレの朝。

 

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