いもやの天丼

天丼だけの超専門店。水道橋から神保町に向かう途中にある「いもや」。
他にも天ぷら定食の「いもや」があったり、とんかつ定食の「いもや」があったり、神保町にはいもやを名乗るお店が数軒。
昔はもっと沢山あって、どこも学生やサラリーマンが気軽に食べることができる値段というのがありがたかった。
とは言え、もっと安く腹を満たすことができるチェーンストアが沢山できて、その何軒かは閉店をした。
実はこの店も一時期、休業。紆余曲折があって先日再開業。
ボクにとってはこの店こそが、若い頃から30年以上もつきあってきた「いもや」の象徴。
だからもどって来てくれたのはとてもうれしい。
それでいそいそ。ウキウキしながらやってくる。

ちょうど開店時間の直後で、白い暖簾がかけられていた。その暖簾をかけてた人が馴染みの職人。ボクとおそらくほぼ同年齢。見習いさんからはじまって天ぷらを揚げる職人になってそれから部下を育てて、今では部下のサポート役。ココで人生をはじめて熟して終える準備をしているコトに頭が下がる。

お店の中は昔と同じ。カウンターだけ。中に厨房。カウンターの周りに10人ほどが座れる大きさ。かつての店長、今の店長。それに下働きのおばさんがいて、みんなニコニコ助け合って仕事をしてる。
厨房の中はシンプルで、作業台にご飯釜。味噌汁をたくコンロの上の鍋に大きな天ぷら鍋と、ほぼそれだけですべての料理が出来上がる。天丼650円。ボクが20代の頃には450円だった。漬物100円で、今日のランチは750円とする。
キレイに磨き上げられて、表面スベスベ。手のひらに吸い付くようになめらかな白木のカウンターがやる気と誠意を表している。オキニイリ。

まずはお茶。
そして漬物がやってくる。
カブにキュウリに刻んだカブの葉っぱの3種。
お茶を飲みつつカリカリ、シャクシャク。
カウンターにあらかじめ今日のお代を用意しておく。1250円でお釣りがちょうど500円。

実は昔。ココで天丼を食べてすっかり満足し、意気揚々とお店をでたら、お店の人に追いかけられた。
追いかけてきたのがかつての店長。危うく食い逃げ犯になるとこだった。それからずっと先払い。心置きなく貪り食うつもりであります。
天丼がくる。

熱々ご飯。上にキレイに盛り付けられたエビ、キス、イカにかぼちゃに海苔の天ぷら。
タレをたっぷりかけまわし、しじみ汁と一緒に湯気をたっぷり上げる。ココの丼つゆ。天つゆのようにサラサラしていて、天ぷらすりぬけご飯を濡らす。出汁の甘さ以外にほとんど甘みを足さないスッキリとした味わいで、天ぷら油のコクが混じって風味もゆたか。

さっくり揚がった衣のふっくらおいしいコト。
さて天ぷらをどの順番に食べようか…、と、ちょっと迷ってまずはキス。しっとり、ふっくら。軽いクセが油とタレでふくよかな風味になってく。
それからかぼちゃ。甘くてしっとり。
イカのムチュンとたのしんで、そこにサービスのカウンターに置かれた漬物をのっけてハフっ。
パリポリとした食感たのしい顎のゴチソウ。
タレがたっぷり染み込んだ熱々ご飯のおいしいコト。海苔の天ぷらをクシュッと食べて、最後はやっぱりエビの天ぷら。ムチムチムチュンと歯切れてご飯と混じり合う。甘くておいしく、ウットリします。カリッと揚がった尻尾を食べて、昼のお腹に蓋をした。

 

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コメント

  1. 一杯調子

    サカキさん

    はじめてコメント致します。
    いもやといえば、私は早稲田のお店にお世話になりました。
    バイトのお給料が出ると穴子を定食につける、というのが当時の贅沢でした。
    それでも学生の懐に優しいお店で、なんとも懐かしく感じる今回の投稿を見て、またあの辺をうろうろしたくなりました。
    いつも素敵なblogを楽しみに拝見しております。

  2. サカキシンイチロウ サカキシンイチロウ

    一杯調子さん
    神保町に早稲田の街。どちらも若者、学生の集まる街で、そういうところに本物の料理を手軽に楽しむことができるお店があってくれること。
    スバラシイなぁ…、って思いますよね。
    一生懸命働いたご褒美のおいしいモノほど、おいしく感じるものもないでしょう。ボクもお給料がでたときに、暇な時間帯に勇んでやってきてエビを追加した天丼を自分にご褒美したコトを思い出しました。
    コメントありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

  3. Kei

    いもや、暖簾分けが遠く青森は弘前にもあって、学生時代に時折通ってました。当時は学生でも天ぷら屋に行って揚げたてを食べられるのが何だか大人な感じがして、お財布に余裕があるときは後輩を連れて行った思い出があります。貧乏学生でも優しく受け入れてくれて、とにかく優しいご主人だったと記憶しています。
    この記事を見てとても懐かしくなりました。

    • サカキシンイチロウ

      Keiさん
      なんと弘前に。
      カウンターの天ぷら屋さんで、目の前で揚げてくれた揚げたてを食べることができるなんて本当に贅沢だなぁ…、って思ったモノです。
      いろんなところでおいしい天ぷらや天丼を食べたつもりでも、やはり若かった頃の贅沢は未だに贅沢。なつかしかったです。

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