いとおしき洋食レストラン「上野洋食遠山」
上野のオキニイリの洋食屋さんにて昼。
「上野洋食遠山」と言うお店。
上野の駅の上野の森側にでた正面にある商業ビルの二階にあって、大きな窓から外の光が思う存分やってくる明るいお店。
オープンキッチン。お店のほとんどどのテーブルに座っても厨房の様子が見える。唯一、厨房が見れない席は6人がけの個室のようにふるまうスペース。広い通路に大きなテーブル。15テーブルほどの大きすぎず小さすぎず、お店の人や他のお客様の視線を軽く意識しながら、けれど決して煩わしくなく、座ると自然と背筋が伸びておいしい予感に笑顔が溢れる。
この東京で好きな洋食店を3つ挙げなさいと言われれば絶対挙げたくなるお店。
ビーフカレーをメインのランチセットをたのむ。スープかサラダが選べるという。そこでまずはスープを選び、ニース風のサラダをハーフサイズで追加する。ツナにオリーブ、トマトに茹でたインゲン、じゃがいも、それから卵。南仏っぽい具材、そして明るい姿が食欲誘うオキニイリ。あるて何故だかたのんでしまう。
ただここのニース風にはツナは無し。代わりにパルミジャーノがたっぷりかかり、キュッキュと奥歯をくすぐったくするボクが苦手なインゲンも無し。じゃがいもはただ茹でたのでなく、マッシュポテトをじゃがいもの形に再び成形したのを添えているのが粋でたのしい。見た目はモツァレラチーズのようでいて、食べるとふっかりとろけて芋だとわかる。たのしくおいしいサプライズ。
今日のスープはあたたかいコンソメロワイアル。
コンソメで伸ばした卵をボウルの下に沈めて蒸して、プリンのように固めたところに熱いコンソメスープを流したもの。
スプーンを入れるとふわりとフランが剥がれて浮かんで泳ぎ、口に運ぶとトゥルンととろけて儚く消える。
その儚さをタピオカのもっちりとした食感が引き立て口が潤う料理。
そしてメインのビーフカレー。ポークカツレツを添えました。
サフランライスの上にカレー。そしてカツ。正面からみるとカツカレーのように見えるけどお皿を回して裏側からみるとトロトロに煮込まれた牛肉ゴロゴロ。この上もなく上等なビーフカレーであるとわかって二度ウットリ。
ほどよき厚さのポークカツレツはスプーンで切れる。カサカサとした細かなパン粉。筋を切られてやわらかでしっとりとした豚肉がサフランライスと一緒になって口の中へとやってくる。
スパイシーで香り豊かであるのだけれどカレーというよりカレー風味のソースのようにカレーがふるまう。煮込んだ牛肉は脂がクチャッと潰れてジュースがジュワリと染み出す。カレーというより肉をおいしく食べる工夫を食べてるって思えてきます。
食べてるうちに汗が出る。辛いからじゃなく血流が刺激されて滲み出す汗に、体にいいものを食べているんだ…、とまたウットリ。
厨房の中ではずっとお店の人が手を動かしてる。肉の掃除や切り出し。そこで出てきた端材でソースやスープを作る。いい店だなぁ…、ってしみじみ。また来ましょうと思って席立つ、オキニイリ。
ほぼ客室のどこからでも見える清潔な厨房。
クラシックな洋食といいながら、丁寧に、そして新しい発想で仕上げた数々のメニュー。
そして“上野洋食”とアタマに打ち出したのは思い入れがあってのことでしょう。かつて同地で洋食なるおのを味わった昔の文人らのエッセーを思い出します。
また一つ素敵なお店を教えて頂きました。ありがとうございます!
Michikoさん
威張っていないのがいいです。
押し付けがましいわけでなく、料理でお客様をよろこばせたいという気持ちが伝わるよいお店。
上野という街の未来がこの店のようであればステキなのになぁ…、としみじみ思うお店でもあります。
美味しそう!
絶対美味しい。
前にアド街かなんかで観て行きたいと思ってたお店です。
普通に実直に美味しいものって
自分や人に対する素直な思いと繋がる気がします。
きょうちゃんさん
普通のものが普通に美味しい上に、ちょっとしたインスピレーションにあふれる食体験を味わうことができる。
いいお店。おなじみさんになりたいお店の一つです。
はじめまして。
いつもブログを楽しく拝見しております。
そして多くの素敵なお店をシェアしてくださってありがとうございます。
今日、遠山に初めて行ってまいりました。書いていらっしゃる通りのいいお店でした。
夜のプリフィクスコースで牛ほほ肉の赤ワイン煮を頂きましたが、「きちんとするべきことをしておいしくなっている」料理、という感じでした。
フレンチでもイタリアンでもなく洋食、なんというか「親切な味」ですね。
よいお店を教えていただき、ありがとうございました。
サカキさんのますますのご活躍をお祈りしております。
しのさん
ボクの大好きな遠山さんを気に入っていただけてうれしいです。
おっしゃるように「すべきことをすれば」料理は当たり前のようにおいしくなってくれるもの。当たり前以上においしくするためには、経験とかセンスとかが必要になり、遠山さんはそのすべてを備えたすばらしい店の一つだと思っています。
中には経験に甘えたり、センスがあるとうぬぼれてすべきことをしないですませるお店も多く、贔屓になるにふさわしいお店を発見は本当にうれしい出来事。
ご紹介するにふさわしいお店がまだまだあるものと、それが日々のたのしみです。
ステキなコメントありがとうございます。